今回、収集品の中から紹介するのは「棍飛」です。
前に#20で紹介したものと形状は似ていますが、日本製にしては武骨でとても頑丈な造りです。
全長:1m20㎝ 重量:510g 全て鍛鉄製 鎖は沸かし付け
分銅は球ではなく柿の実の様な扁平形をしています。
鍛造だけで製作していて「ヤスリやセン」を使って仕上げをしていないので槌目がたくさん残っています。
分銅径:3.4㎝ 高さ(鎖付け環を含む):4.5㎝
鎖付け環は分銅から打ち出された芯棒に「カラクリ止め」されていて、鎖のよりが戻せるよう自在に回転します。
鎖本体と鎖付け環を繋ぐ連結環は正円で製作されています。
沸かし付けされているのが画像から良く分かると思います。
連結環外径:2.3㎝ 線径:4㎜
錆色の状態から鎖の方が時代が古く、分銅はそれよりも新しく感じます。
鎖本体は画像の様に長さ等にバラツキがあって手作り感満載です。
鎖粒長さ:2.3〜2.8㎝ 幅:1.6㎝ 線径:4㎜ 鎖数:56個
分銅鎖を見るたびに思うのですが、昔の鍛冶屋さんの技術は凄いです。
沸かし付けで50個以上の鎖を繋ぐなど、相当の気力と根気がないと不可能です。
仮に現代の溶接技術で製作したとしても完全オートメーションでない限り大変な作業です。
当時は人件費が安く、己れの持つ技術を十分発揮して物作りをしないと依頼者も納得しなかったことでしょう。
職人の仕事に対する誇りも現代人より高かったと思います。
昔の武器に惹かれるのは職人魂や使用者の思いが強く感じられるからだと思います。
そしてその魂は現代作の刀剣類にも共通していると感じています。