これまで袋槍は#5 正三角,#61 平三角笹穂を紹介しましたが今回は両鎬です。

 

この槍には柄はありますが、鞘が有りません。

 

 

 

全長:19㎝ 刃長:9.5㎝ 重量:150g 目釘穴:1個 無銘 錆身のため刃紋と地鉄は不明

 

 

袋部には錆防止のため漆がぬられています。

 

 

袋部末端外径:2.1㎝ 厚さ:1.5㎜

 

 

 

 

この槍は柄が短いですが、以下①~④の槍の特徴から槍術流派の大嶋流もしくはその関連流派のものではないかと思われます。

 

特徴① 袋両鎬槍

特徴② 太刀打部に輪宝(九輪)を模した鐔付の八相金具?がある

特徴③ 籐皮巻(鏑巻)下の柄が16角削りで製作されている

特徴④ 石突が大嶋流独特の形状

 

穂先装着時の全長:2m11㎝ 穂先から八相金具まで:37㎝

 

 

痛みが激しいですが太刀打部には等間隔で紐が巻かれ上に漆が塗られていたようです。

 

 

 

16角削りの柄

 

 

八相金具は両端に3箇所の切れ込みと猪目が開けられていて鐔(輪宝)がロウ付けされています。 銅製。

 

長さ:6.5㎝ 鐔(輪宝)最大径:4.1㎝ 厚さ:5㎜

 

 

 

鐔(輪宝)には野球のホームベ-ス形の突起が大小等間隔で16個あり、その内1個には槍印等を付ける環のある切子玉形の金具が付けられています。

この切子玉形の金具は自在に回転します。

 

 

石突は独特な形状で水返し金具と一体形になっています。

 

水抜き穴も変わった形でこの形状に合う鳩目が両側から入れられています。

 

材質は全て銅製です。

 

 

長さ:8㎝ 径:3.1㎝

 

 

石突の底は花びらの様に凹凸があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

全体的に経年の痛みがありますが、柄に曲がりはありません。

 

樫の木を人力でテーパ-を付けて16角に削るなど、昔の職人の技術には脱帽です。