鎌は大変便利で有益な道具ですが、唯一の欠点はその独特な形状ゆえに携行するのが不便だという事です。
今回、収集品の中から紹介するのはその欠点を克服した「折りたたみ鎌」です。
全長:61㎝ 重量:420g
鎌刃を出した状態
柄長(木の部分):46㎝ 太さ:2.7㎝~3㎝ 樹種は不明
折りたたんだ状態
鎌刃長:8.5㎝ 最大幅:2.4㎝ 刃厚さ:4㎜ 両切刃 割りハガネ造り(#38参照)
鎌刃の取付けは「肥後守」と同じ造りです。
厚さ:3㎜の鍛鉄板をコの字に折り曲げて製作した本体金具に鎌刃を取付け丈夫な鉄釘でカシメ止めしています。
鎌刃端にあるチキリ(刃を出す時に押す部分で、出た刃の固定も兼ねる)が特に大きく・ゴツく作られていて鉈の様な荒い使い方にも耐えるよう工夫されています。
本体金具の取付けは鉈と同じ造りです。
柄の先端に切り込みを入れ、本体金具を差し込み口金で締めて鉄目釘を打っています。
この鉄目釘も断面が四角のもので、ガタツキが出にくくなるように工夫されています。
本体金具長さ:16.5㎝ 最大幅:2.1㎝ 最大厚さ:1.1㎝
本体金具の柄側の所に径:5㎜の貫通穴が開けられていますが、何の目的で開けられたのかは不明です。
口金は鍛鉄製で鍛接にて製作されているのが画像からわかると思います。
柄は樫の木の様な堅木ではありませんが、良く使い込まれて飴色になっています。
末端に径:5㎜の貫通穴が開けられ紐が通してあります。
これは手抜き紐ではなく壁などに打たれた釘等に掛けるためのものだと思われます。
この紐は幕末くらいに書かれた伝書巻物に使用されるものと同じです。
個人的見解ですが、この鎌が製作されたのは幕末~明治初期くらいではないでしょうか?
鎌刃は折りたたむと本体金具にピッタリと収まり、少しの衝撃くらいでは飛び出さないので安全に携行できます。
先人の技術、素晴らしいです!!