今回、収集品の中から紹介するのは長柄の鳶口です。
#52で紹介した鳶口よりも武器としての使用に特化した造りになっています。
全長:1m73㎝ 重量:920g 柄は樫の木製です。
先端金具は槍穂と同じでケラ首と茎がある造りです。
穂先は鋭い円錐状に製作されていて、それに鳶口が鍛接されています。
これで突き刺したり引掛け倒したのだと思います。
先端金具長さ(先端からケラ首まで):9.5㎝ ケラ首径:2㎝ 鳶口長さ:5㎝
先端金具は鉄目釘で棒身を貫いてカシメ止めされています。
逆輪下にある鍛鉄製の胴輪は何かを固定したり補強したりするものではないですが、おそらく太刀受けか鏑巻の代用ではないかと思われます。
逆輪は玉縁も含め鍛鉄製で、筒部には鍛接された跡が見られます。
2箇所入り八双になっています。
逆輪長さ:14㎝
この鳶口の最大の特徴は
【逆輪が先端金具の茎を差し込む溝に嵌める埋め木ごと鉄目釘で固定されている事】
です。
下の画像で埋め木が浮き出ているのが分かると思います。
これは経年変化などで浮き出たわけではなく、埋め木を大きめに作ることで茎にガタツキが生じた時に鉄目釘を叩き締め直して改善するための工夫だと思われます。
石突は先端が八角錘になっていて鉄目釘で2箇所固定されています。
水返しは付けられていません。
石突長さ:8.3㎝ 径:2.6㎝
保存状態は良好で棒身にも曲がりはありませんが、先端金具等には歪みなどが見られるのでよく使用された事が分ります。