今回、収集品の中から紹介するのは拵付の袋笹穂槍です。
鞘を払って全長:1m94㎝ 重量:1.230㎏
袋槍穂先全長:20㎝ 刃長:11.5㎝ 最大刃幅:17.5㎝ 中間重:6㎜
この槍は平三角の袋笹穂槍です。
平の面には少し太めの樋が入れられています。
笹穂は斬るにも突くにも有効な造りだと言われています。
袋部分は下の画像の様に1箇所で鍛接されているのがよく分かると思います。
末端は3方に切り込みと猪目穴のある入り八双になっています。
袋末端外径:2㎝ 内径:1.8㎝ 目釘穴:1個
袋槍の柄の先端は下の画像の様になっています。
入手当初、穂先保護の為か袋の奥に小さく丸めた古い和紙が入れられていました。
穂を装着するとこんな感じです。
柄の太刀打部分には銅製の算盤の玉の様な形状の胴輪が3個あり、柄元の方の胴輪だけには槍印等を取付けるための環が付いています。
胴輪の上下は鏑巻にて固定されているのですが、横方向には自在に回転するように作られています。
この造りには何か意図があるのかもしれません。
柄の太さ:1.9㎝~3.1㎝ 樫の木製
石突は碁盤の脚を細長く伸ばしたような面白い形状です。
ただし、この石突は六角形ですが...。
石突長さ:10.5㎝ 鍛鉄製
水返し長さ:2.5㎝ 銅製
鞘は古式通り6個のパーツを組み合わせて出来ています。
これは有事の際、鞘を付けたまま槍を側の物に打ちつけると鞘が割れてすぐ戦いに臨めるための工夫です。
ただし塗りの感じからすると近年製作されたものかもしれません。
長さ:9㎝ 最大幅:5.5㎝ 最大厚さ:2.5㎝ 朴の木製
穂先は錆びていますが袋部分の鉄味はとても良く、柄も曲がりや金具の痛みと欠損もないので全体的に保存状態が良い槍ではないでしょうか。
この様な短い槍の遣い方は槍術だけではなく杖術や棒術の流派にも伝承があると聞いています。