今回、収集品の中から紹介するのは「陣鎌」です。

 

この陣鎌は古武器の収集などしていると時折見かけることがある比較的オーソドックスなタイプです。

 

 

 

 

全長:32.5㎝ 重量:310g 柄長さ:29.7㎝ 柄は木製ですが、何の木製かは不明です。

 

 

 

鎌は両切刃で中央に日本刀の様な鎬があり、鎌元には径:5㎜の穴が開けられています。

現在は剝げていますが鎌全体に黒漆が塗られていた跡が残っています。

錆びているため造りは不明です。

 

鎌長さ:11㎝ 刃長:9㎝ 最大刃幅:2.9㎝ 厚さ:8㎜ 

 

 

 

 

 

 

太刀打部の長さ:8.5㎝ この部分には朱漆で叩き塗が施されています。

ただ残念な事に鎌の背側に大きな割れがあります。

これは実際の使用によるものではなく、単に保存環境が悪かったため木の乾燥による収縮が原因と考えられます。

#38と同じ割れです。

 

 

 

 

鎌の刃側も漆が大きく剝がれていますが、それらにより以下の事が分りました。

 

槍の柄と同じく柄の刃側から溝を掘り、埋め木の代わりに幅:1.4㎝の鍛鉄製筋鉄が入れてあります。

鎌の茎を差し込んでから鉄目釘で固定しているので日本刀の様に柄から抜く事は出来ない造りです。

 

この筋鉄は明らかに敵刃を受ける事を想定していると思われます。

筋鉄、口金と胴輪は全て鍛鉄製。

 

 

 

柄は胴輪までの断面が径:2.5㎝の円形で、柄尻に向かって徐々に断面が楕円になり柄尻は下の画像のような形になっています。

 

胴輪元から柄尻まで刃側には鎬が一筋立ててあり、一見するとプラスチック製か?と思われるくらい綺麗に黒漆で石目塗りされていてます。

柄尻から3㎝の所に径5.5㎜の手抜き紐等を通す穴が開けられていて銀製の鳩目と菊座(片側は欠損)が付けられています。

 

普通に使用する鎌ならば装飾的な漆塗を施したりする必要はないと思われますが、日本刀の拵と同じ様に製作されています。

 

そのようなキッチリしたところに先人の粋を感じます。