今回、収集品の中から紹介するのは「鍵付袖搦み」の第2弾です。

 

#22で紹介したものは鍵が一文字形でしたが、今回のものは牛角形をしています。

 

 

全長:2m40㎝ 重量:1.730㎏ 棒身(樫の木製)の太さ:2.4㎝~2.9㎝ 金具類は全て鍛鉄製

 

 

鍵は頭部金具から70.5㎝のところに付けられていて、頭部金具元の口金から鍵まで鋲(トゲ)20本の付いた筋鉄が3本入っています。

 

筋鉄長さ:63㎝ 幅:8㎜ 鋲の高さ:1.3㎝ 太さ:6㎜

 

 

頭部金具長さ:6㎝ 幅:7㎝ 頭部金具の形状は#22で紹介したものと同じです。

 

下の画像のように帯鉄を巻き3本の釘で固定している所が2箇所あります。

 

筋鉄と筋鉄の間には黒漆が塗られていたようですが、現在は黒漆が剝げて下地の朱漆が見えている状態となっています。

 

 

鍵立上がり長さ:6㎝ 幅:9㎜ 厚さ:6㎜ 鍵全体幅:18㎝

 

 

今回紹介の袖搦みと同型で近年製作されたと思われる新物が販売されているようで、たまに見かける事があります。

新物と古作の違いの一つに鍵の造りがあります。

 

古作の鍵は2つの部材を合わせて鍛接して製作しているので下の画像の様に鍛接跡が残っていたりします。

これは#28と#41で紹介した鉤と同じ造りです。

 

でも新物は現代溶接で製作されています。

 

ただし古作の鍵の中には鍛接などしてなくて1つの部材からだけで製作されているものもあります。

 

 

鍵元には鏑巻があり、その下には黒漆で五筋の長さの異なる「こうがい塗」が施されています。

 

 

石突は円筒の先が八角錘状に伸びた形状です。

長さ:9㎝ 円筒部長さ:3㎝ 径:2.9㎝ 八角錘先端径:8㎜

 

 

 

この袖搦みも#22のもですが鍵が付いているにも拘わらず鍵槍の柄の様に鍵の方向が分かる「さぐり」は付けられていません。

「さぐり」とは柄の末端の方に柄の断面が桃形(ももなり)になるように一筋の鎬を削り出したものです。

 

使用する際には鍵の向きなどに、それほど固執しなかったのかもしれません。

 

この鍵付袖搦みはトゲトゲの付いた筋鉄が長く、鍵も付けられている事から威嚇道具としてではなく単独武器として製作されたものかもしれません。