今回、収集品の中から紹介するのは「龍吒」です。

 

大阪城天守閣収蔵武具展の図録「武装」の63ベージには同型の武器の名称を「鎌戻」としています。

 

 

全長:1m71㎝ 重量:780g 柄の太さ:2㎝~2.5㎝ 柄は樫の木製です。

 

 

先端の金具は鍛鉄製の3本の爪から成り、それらを1つにまとめて鍛接しています。

 

先端の金具の中央の爪は突けるように前方に向き、残り2本は衣服等に絡まるように曲がっています。

この2つの爪の曲がり方で「25 龍吒1」で紹介した御舟手道具の龍吒と異なり対人用の武器だという事が分ります。

 

全体的に華奢な造りに感じられ、太刀打部分には青貝砥出しが施されています。

おそらく屋外ではなく屋敷内の護身武器として使用されたのでしょう。

三つ道具の袖搦みの中にも青貝砥出しが施された華奢な造りのものがあります。

 

太刀打部分は槍と同じ造りで先端の金具の下に口金、その下に逆輪(共に鍛鉄製)その下に銅製の胴輪が2個付き、その下が鏑巻となってます。

 

 

先端の金具の取付は槍の様に柄の片側からから茎を差し込む溝を掘り埋め木をするのではなく、木口の方からのみ穴を堀って差し込んでいるようです。

青貝が剥落しているので分かりました。

抜く必要がないので鉄目釘でカシメ止めです。

 

1本爪の長さ(口金から):4㎝ 2本爪の高さ(口金から):3.5㎝ 2本爪の幅:5㎝

 

 

鏑巻の下には槍によく見られる柄の4方に長さが異なる太さが同じの「こうがい塗り」が黒漆で施されています。

           

 

入手した時は石突が付いていましたが、大きさが柄に合ってないのと固定もされていないので外しました。

近年に無理やり取付けられたのだと思います。

 

本来は前述の大阪城天守閣収蔵武具展の図録「武装」の「鎌戻」と同じで石突はもともと無かったと考えられます。