今回、収集品の中から紹介するのは「厩鎌」です。
厩鎌とは昔の武家の厩舎の壁に掛けてあった備品の1つで、火災や馬泥棒の侵入等の有事の際に馬を繋いでいる縄を切って馬を解放するために用いられました。
もちろん時には格闘武器としても用いられようです。
全長:59㎝ 重量:615g 金具は全て鍛鉄製
柄長:54.8㎝ 太さ:2.8㎝×3.5㎝ 楕円 樫の木製
鎌刃は刀の鍛え方とは違い「割りハガネ」という鍛え方で刃の部分の鋼を軟鉄で挟んで鍛接しています。
下の画像でも鋼と軟鉄の境がハッキリと見えます。
これは刀の刃紋とは違います。
鎌長さ:12㎝ 刃長:9㎝ 最大刃幅:3.1㎝ 最大刃厚:7㎜ 両切刃
目釘は2箇所で口金から9㎝の所の2つ目の目釘が帯止め金具(掛け金具)と一体になっています。
全体的に武骨な造りですが、この部分だけお洒落な花形の菊座が置かれています。
槍の柄の様に鎌の茎の長さだけ片側から柄を堀り込んでいますが、埋木はしなかったようです。
保存環境が悪かったため背側に木の乾燥収縮による割れが入っています。
柄は良い飴色になり、輝いています。
※私は「沸かし付け」と「鍛接」は同じ技法だと考えています。
今後は「鍛接」で表記しますが、鎖についてだけは名和弓雄氏の著書の表記を参照にして「沸かし付け」で表記したいと思います。