今回は#19 と#28 で紹介しました神戸の骨董屋さんで発見し購入した古武器シリーズ?の第3弾です。

 

「木製短梢子棍(しょうしこん)」という中国の古武器です。

 

 

全長:70㎝ 重量:650g 木の部分は日本の樫の木等とは違う堅木で出来ています。

 

 

 

 

短棒(木の部分)長さ:17.5㎝

 

長棒(木の部分)長さ:42.5㎝ 製作当初は真直だったものが経年変化で反っています。

 

棒の連結部に用いられた鉄環は全て沸かし付けされていますが、鉄環の内径:1.9㎝に対して金具の幅:2.4㎝なので先に鉄環を全て沸かし付けしてからでは金具に通せません。

なので以下のように①~⑥のように手間がかかる工程で製作されたと思われます。

 

① 鉄を鍛造して鉄環と棒を嵌める金具を2個作製、棒に固定する為の釘穴もそれぞれに4ヵ所開ける。

② 鉄環7個を作製。(この時点では沸かし付けしない)

③ ①の金具に鉄環3個を入れてから沸かし付けする。

④ ③の真ん中の鉄環を1個の鉄環で連結してから沸かし付けする。

⑤ 金具を棒に嵌め金具の穴に合わせて棒に穴を開ける。

⑥ 鉄釘4本を入れてカシメて固定。 

 

連結に関係ない4個の鉄環は鳴環(8 三節鞭の回 参照)です。

 

 

棒の末端にはそれぞれ鉄胴輪が嵌めてあります。

これは打撃力を与えるためと棒の割れを防ぐためです。

また、棒の割れを防ぐためにS字の金具を木口に打ち付けています。

 

雑誌「武術」1999年季刊冬号で武術家・古武器収集家のS・パリッシュ・サーバッジュ-氏がこの武器について書かれています。

 

それによると中国だけでなく西洋でも「フレイル」という名で同型の武器が使用されていてその起源は紀元前五世紀のペルシャだそうです。

 

紀元前五世紀にギリシャで作られた壺が現存していて、この「フレイル」を持つペルシャ兵の絵が描かれているのだそうです。

 

時代や国を越えて使用されてきた武器...感慨深いです。