残念ながら潤沢な購入資金など無い私の収集品には、製作された当初の状態のままで保存されていたであろう美品はありません。

 

必ずどこかに傷や大錆等の欠損がありますし、一部(部品)だけしかないものもあります。

 

古武器は実際に使用されたものであり、時代を経てるのでこれは仕方がない事です。

 

でも、欠点がある古武器からは製作者がどの様な部品を組み合わせているのか良く分かるので研究するには好材料です。

 

今回、紹介するのは収集品の中で一番痛みが激しい十手です。

 

鉤の形は変わっていて面白いと思います。

 

 

全長:41.5㎝ 重量:535g 両鉤幅:7㎝ 棒身先端から鉤の付根まで:27.5㎝ 棒身と鉤は鍛鉄製

 

棒身の先端は丸めてあります。

 

 

見ての通り柄の木地は虫食いでボロボロです。

 

木の種類は不明ですが堅木ではなく、朴の様な柔らかい木ではないでしょうか。

表面は拭き漆されていたようで、紐や籐は巻かれていなかったようです。

 

 

日本刀の柄の様に2つの木片を合わせて出来ています。

 

 

鉤(大)にも鈎(小)にも竹の節の様な刻みが付けられています。

 

鉤(大)立ち上がり長さ:6㎝ 鈎(小)立ち上がり長さ:3㎝ 鉤厚さ:7㎜

 

柄長(鉤元から柄頭まで):10.5㎝

 

 

柄頭の金具と菊座等は銅製です。

 

柄頭の金具は3個の部品を組み合わせているという凝った造りとなっています。

 

ただし紐付け環だけは黒く染めた真鍮製で猪の目型です。

 

たぶん身分のある人物の十手と思われます、保存状態が良ければまず私の収集品になる事はなかったでしょう。