古武器を眺めていると
① いつ頃でどこの国のものだろう?
② どんな身分の人が使ったのだろう?
③ どんな職人達が作ったのだろう?
④ 何という武術流派で使われたのだろう?
という疑問が湧いてきます。
それらを思い考えるのが楽しいのですが...。
①と③については時おり在銘で裏年期の入ったものが見つかる事もあるので、それと比較すればある程度は推察できます。
②と④については今日まで現存している流派のものならば公開されているので分かりますが、その他の流派については自ら調べなくてはなりません。
日本の武術の凄いところは、術や技の継承時に伝書巻物を発行して誰が誰に継承してきたのかという流祖からの歴代継承者までの流れが記されています。
これによりこの流儀がどのように派生したかまで分かるのです。
これは調べるのに大いに役立ちます。
なので私は武術巻物も収集するようにしています。
今回、収集品の中から紹介するのは伝書巻物と長刀の鍵です。
「平正流」という流派の長刀術の伝書巻物で長さは6m5㎝あります。
弘化三丙午年十二月(1846年)に書かれています。
この流派は現在の中国地方で伝承されていたようです。
伝書巻物中央部分に長刀と鍵の図が描かれています。
長刀の全長についての記載はありますが、刀身については何もありません。
伝書巻物と一緒に保存されていた長刀の鍵(万字鍵と呼ばれる)です。 。
最大幅:約14㎝ 厚さ:0.5~13㎝ 重量:245 鍛鉄製
柄を差し込む穴:3×2.5㎜(楕円)
伝書巻物に記載されている寸法とほぼ同じです。
この鍵は1つの部材から製作したものではなく、5つのパーツを組み合わせて沸かし付けで付けるという凝った造りです。
この鍵が付けられた長刀、どのような使い方をしたのでしょうか。