今回、収集品の中から紹介するのは中国の古武器「爪子棒 そうしぼう」です。

 

中国では本来この武器が何と呼ばれていたかは不明ですが、我々古武器収集家の間では「爪子棒」が通名です。

 

20年くらい前、神戸JR元町駅から続く高架下に骨董屋さんが何軒かありました。

 

その中に中国の古美術を扱うお店があり、私は旅行者ということもあり冷やかし半分で入ったのです。

 

「いらっしゃいませ。」と案内して下さったのは店主であろう高齢の男性、奥には奥様と思われる女性がおられました。

二人ともたぶん中国の方ではないでしょうか...。

 

店内に飾ってあるのは私には無縁の美しい中国古美術品の数々...。

 

入る店を誤った...と店を出るタイミングを計っていた時、店の隅に無造作に置かれた木箱が目に入ったのです。

 

箱の中には何と!? 釵や短稍子棍,そして今回の爪子棒などが無造作に数点ほど入っていました!!

 

一点一点売物ですか?と値段を尋ねると通常よりも安い価格を提示されました。

 

さっそく入念に一つ一つ吟味して痛みが少ないものを何点か選び購入しました。

 

その後も数年間は神戸を訪れた際このお店に立ち寄り珍しい古武器を購入しましたが、ある時を境に店が閉じられたままとなってしまいました。

本当に残念です。

 

 

全長:53㎝ 爪最大幅:5㎝ 爪長さ(金具より先長さ):10㎝ 棒身径:1.3㎝ 鍛鉄製

 

 

爪は3つの部材を沸かし付けで付けていることが分かります。

 

鉄味が良いので爪は鋼製かもしれません。

 

こんな武器で攻撃されたら...と思うだけでゾッとします。

 

爪に近い切子玉金具は、ある程度切子玉形に形成した鉄片を熱して棒身に巻き付けてから「沸かし付け」で付けているようです。

 

 

柄には紐が巻かれていたようです。

 

柄の長さ:13.7㎝

 

こちら二つの切子玉金具は巻き付けではなく金具を別に形成し棒身に通してから「沸かし付け」で付けています。