今回収集品の中から紹介するのは陣鎌です。
今は研磨したので輝いていますが、入手時はかなり錆びていました。
この陣鎌も「柄から抜けない~」として販売されていたものです。
画像で見る限り鎌は本物みたいですが柄の方は現代製作されたように見えます。
「まあ、抜けなければ最悪の場合は柄を切断すればいいか」と安易に考え購入しました。
しかし、現物が届いてからこの判断が間違いだったと慌てる事になります。
それは、思ってた以上に柄が名品だったという事です。
柄の材質は樫ではありませんが琵琶?のような堅木で製作されています。
柄長:36㎝ 最大太さ:3.1×2.5㎝(楕円) 最小太さ:2.7×1.8㎝(楕円)
鎌の茎を差し込む穴を二か所からの掘り込みだけで開けるという手の込んだ造りで、製作者の卓越した技と造詣の深さが感じられます。
柄の保存状態が良いため新物と見間違えましたが、少なくとも戦前より前の時代は十分あると思われます。
「もったいなくて、とても切れない...」
まだ柄から抜くという作業に慣れていないこの頃の私は、この柄を傷つけずに抜くのに1か月要したのでした。
苦労してやっと抜けた時、鎌が在銘だと分かり柄も無傷のままだったので本当に嬉しかった事を今でも鮮明に憶えています。
刃長:12.3㎝ 反り:内反り5㎜ 最大幅:3.1㎝ 刃厚:7㎜ 重量:280g 茎長 : 18.7㎝
刃元に猪目の紐通し穴あり
名和弓雄氏の著書によると陣鎌は他の鎌と違い、研磨すると日本刀の様に地肌も刃紋も出るとあります。
私はこれを検証すべく砥ぎに出してみました。
確かに日本刀と同じ地肌と刃紋が出ています。
刃紋:直刃調 地肌:柾目
銘 裏に「二月吉日」
銘 表に「金府住泰平作之」
泰平は加賀の刀匠で時代は江戸中期頃