ごくたまに「柄から槍穂を抜くことができない槍」を業者が販売していることがあります。

 

私はそんな槍に魅力を感じて、ついつい購入してしまうのです。

 

その最大の魅力とは

 

①在銘の槍である可能性がある!?

②どうやって柄から槍穂を傷つけることなく抜くのか考えて実行する?というパズル的面白さ

 

に尽きると思います。

 

結論から言うと①の在銘である可能性は1割弱です。

 

 

今回、収集品の中から紹介するのは「抜けない槍」と格闘の末に勝ち取った1割弱の希少な在銘槍です。

 

試行錯誤の上、柄から抜けた瞬間の満足感と脱力感!?

ましては在銘!!

このスリルと興奮は、まるで宝くじにでも当選したようでした!!

 

 

槍穂全長:47㎝ 刃長:13.5㎝ 刃幅:12.5~15.0㎝ 両鎬造り

銘:「播州手柄山麓藤原氏繁」

結構ビッグネームの刀匠です‼️

ただ、残念なことに柄は56.5㎝の長さで切断されています。

 

切断面を見ると打柄(木の芯を割竹で包んだ柄)であることが分かります。

 

太刀打ち部には砥ぎだされた鮫皮が螺旋状に巻かれ、目釘穴の所には目釘が抜けないように廻り胴輪が取り付けてあります。

 

以上の事から察するに、かなり槍術に長けた武士が所持した柄ではないかと思われます。

 

     

 

穂先は中央がくびれた独特な形状で、柄から抜くまでは延寿系の刀匠の作かと思っていました。

 

刃先はもちろん鎬の方も砥げば切れるのでは?と思われるほど鎬筋が立っています。

       

 

茎には生漆がかけられていたようです。

本作は二代目氏繫の作だと思われます。

 

ケラ首の形状は丸です。

 


今では抜けない槍を抜く要領も心得たので自作の専用治具を駆使して、何とか傷付けずに抜くことができるようになりました。