今回は収集品の中から矢の根を紹介します。

 

「刀と剣道」という戦前の雑誌を書籍化した本に村井五郎氏の「矢鏃の研究」という論文が掲載されています。

内容は矢の根の種類や沿革についてイラストや写真を多く載せて詳しく論考されています。

 

これによると、今回の矢の根は両鎬造りの「笹葉型」に該当するようです。

 

全長:15.5㎝ 刃長:5.0㎝ 最大刃幅:1.1㎝ 重量:15g

 

 

 

 

在銘で片面に「貞」

 

もう片面に「幸」とあります。

 

 

ケラ首(槍穂で言うところの)の形状は六角形です。

目標に当たった時の衝撃を緩衝するためか穂先の大きさに比べゴツく作られています。

 

この矢の根は二十数年前に骨董屋にて購入しました。

初めて訪れたお店で、骨董屋というよりもむしろ古道具屋に近い佇まい。

店内は古武器を含め骨董品が所狭しと無造作に積み上げられてるといった凄い状態・品数です!

 

店主は私が一見の客であるにもかかわらず

「まあ炬燵に入ってゆっくりしていきなさい。」

と私を奥の部屋に上げてお茶を出して下さいました。

 

ひとしきり古武器の話やお店にある古武器を見せて頂くこと2時間あまり、本当に至福の一時を過ごしました。

 

が、ここで困ったことが...

 

見せて頂いた古武器を買う程のお金の余裕が当時の私にはない!?

 

のでした。

 

店主からは、「今まで見せた品の内どれかは買って頂けるのでしょうな!」という強い勢いのオーラ(圧力)を感じます!?

 

その時、フッと見た右手の棚にこの矢の根があったのです。

値段的にも買えそうです。

 

私は助かった~と言わんばかりにこの矢の根を購入し、店主にお礼を言って慌てて店を出たのでした。

 

店主とはこのような初対面となってしまいましたがその後何年も取引させて頂くこととなりました。