名和弓雄氏の著書によると鎖武器に使用される鎖は
「沸かし付け」といわれる鍛冶の技術でつくられた、つぎ目のない鉄鎖
とあります。
「沸かし付け」とは現代の溶接技術がまだ無かった頃、鍛治が鉄と鉄を熱して赤めて槌で叩いてくっつける技術の事です。
当時まだ収集歴の浅かった頃の私は、何とかして鎖武器を手に入れたい!、沸かし付けの鎖を見てみたい!思いでいっぱいでした。
偽物の鎖鎌は時おり骨董市や骨董屋で見かけても他の鎖武器は見ることはほとんどありません。
思い続けていれば願いは通じるのか!?、この数年後とうとう念願の鎖武器に出会う事になります。
以前、私は関西方面に住んでいたことがあり休みの折には京都によく遊びに出かけていました。
そして河原町に行くと必ず立ち寄る刀剣店?(刃物店?)があって、よく日本刀や槍を見ていました。
ある日このお店に入ると入口のウィンドウの中に何と「分銅鎖」が陳列してあるではないですか!!
やった~!!
感無量でした。
店主にお願いしてウィンドウから出してもらい手に取ってじっくり拝見しました。
確かに継ぎ目がわからないし、ヤスリで削った跡もありません。
手触りはとても滑らかです。
値段は当時の私(今も)にとって清水の舞台から飛び降りる覚悟がいるくらいの額でしたが購入しました。
その後収集した他の分銅鎖に比べても鎖の線径が太く丈夫に作られていてお気に入りの1本です。
全長:70.5㎝ 鎖数:32個(うち正円2個) 重量:260g
分銅は短冊形です。
分銅長:5.8㎝ 先端寸法:1.1㎝×1.6㎝ 元寸法:1.3㎝×0.8㎝
分銅の鎖を取り付けた穴の磨減を見ると、稽古でよく使用されたことが分かります。
鎖粒長さ:2.6㎝ 幅:1.5㎝ 線径:3.5㎜
正円の鎖(接続環)径:2.2㎝ 線径:3.5㎜
沸かし付けの鎖(上)と現代溶接鎖(下)の比較
現代溶接鎖は溶接箇所が盛り上がっているのが良く分かると思います。