ある時、一点からぶら下っている形のハチの巣 ( もう蜂は居なくなっている ) を
撤去しようとしていたら、とても丈夫なので随分と苦労した経験があります。
だだ硬いだけでなく柔軟性があり、「 とても強靭なもので接着されているんだな 」 と、
感じた事を覚えています。
大昔の人は 「 この強靭なものはなんだろう 」 と
蜂が巣を作っているところを観察し、蜂の後を追いかけて
この部分に漆の樹液が使われている事を突き止めて
その後、接着剤 ・ 塗料として活用するようになったのだと思われます。
よく観察を積み重ねて蜂に漆というものを教わったのですね。
函館市南茅部から出土した漆の装飾品6点が、放射性炭素年代測定で
約9000年も前の縄文時代初期に作られたのものであることが分かりました。
9千年も土の中に埋まっていて、そっくりそのまま出てきたのです (ノ゚ο゚)ノ
( 現在は西暦2千年とちょっとですね )
こんなにも丈夫なものが、遠い昔から日本人の暮らしの中にあった事には驚かされます。
* * *
この季節、各地で様々な催事が開かれているようですが
気になっていたものを見てきました。
~ 漆がつなぐアジアの山々~
一般的に磁器は ” チャイナ ” 漆器は ” ジャパン ” と、
いわれるそうですが ( 昔、 ヨーロッパ貴族のコレクションの対象になっていた )
日本を代表する工芸でありながら
現代の暮らしの中では、忘れ去られているような気がして
少し残念な気がします。
漆はアジアの特産品ですが産地により成分の違いがある。
現在、日本で流通している漆の98%は輸入品 ( 主に中国産 ) で
国産漆の生産量は僅か2%
その国産漆の約70%は岩手県二戸市浄法寺という所で生産され
それに続き15%が茨城県太子町、10%が栃木県産
その他 ( 京都丹波地方など ) が5%あまりということです。
京都府丹波地方の漆かきを紹介した映画の上映がありました。
古くより京都の伝統工芸を支えてきました。
映画の中で工芸家の人が、
「 他の国内の産地に比べて色が透いています」 と
言っていた事がとても印象的でした。
* * *
滅多に見ることもない 東南アジアの漆製品の展示もありました
ベトナムの螺鈿鈿細工 ( らでんざいく ) ・ ・ 夜光貝で装飾された小箱
見る方向が少し変わるだけで 夜光貝が様々な色に輝いて大変美しい!
日本では 「 特別で高価なもの 」 というイメージがありますが
ベトナムではあらゆる日用品に螺鈿細工が施されているという。
伝統工芸が現代に生き残るヒントがここにあると思いました。
暖かい東南アジアでは 「 おおらかなデザインなのかな?」 と、思っていたら
日本以上に細密なのには大変驚かされました。
ミャンマー ( 旧ビルマ ) の馬毛胎 ( まもうたい ) 漆器
胎とは素地のことを示しており、竹で編んだものが素地のときは
籃胎 ( らんたい ) 漆器 ( 籃は竹かごを表します )
馬のしっぽの毛が素地のときは馬毛胎 ( まもうたい ) 漆器
( 日本にはありません )
下面が上になっている馬毛胎漆器の ” うつわ ”
アジアンデザインがとても素敵です!
馬のしっぽの毛
縦には極めて薄く削いだ竹、横に馬の毛を編み込んでいる
竹は日本のものよりかなり薄く作られ、横方向に馬の毛を編み込む
器の縁は強度が必要なので、竹が使われているようです
映画の上映が終わったあと 「 馬毛胎漆器に触ってみて下さい 」 という案内があり
手に取ってみてビックリ! 軽い! 薄い! 手でたわむ!
たとえ間違って落としたとしても割れる事はありません。
これならば磁器のように割れたりして危険な事も無く、しかも軽い。
お年寄りや小さな子供が使用しても安全なものだと、思いました。
たとえ壊れても中身は馬の毛と竹ですから ・ ・
プラスチック製のものよりさらに安全ですね!
* * *
近所のイベントにも行ってみました。
国立(くにたち)音大院生によるフルート演奏
https://www.youtube.com/watch?v=i5QnNz8_zx8
久しぶりに聴いた ” 風笛 ”
” 風笛 ” はフルートの名曲ですね!
(出演者とは関係ありません)
1919年ロシアで発明された楽器 ” テルミン ”
https://www.youtube.com/watch?v=lcduUbuwLKY
テルミン奏者の櫻井えり子(トリ音)さんとテルミン
縦のアンテナは音高を、横のアンテナは音量を
手の近づけ具合で調整するという
とても繊細な楽器です。
沖縄音楽とカチャーシー
だいぶ寒くなってきました
即興 枯葉 ・ ・ 一度限りの演奏
https://www.youtube.com/watch?v=7t3xBqAWLaU
私たちの日常も何が起こるか判らない一度限りの時間です