(ゼノンコミックス、2021年3月6日発行)
『ワカコ酒』16巻と同時発売の1冊で
発行所は同じくコアミックスです。
オビに「ついに完結!!」とある通り
第6巻が最終巻となります。
これにはびっくり。
『ワカコ酒』同様に
延々と続くものだと
なんとなく思い込んでたので。
第69話の
「女性に受けない」
「みんな言っている」
というネットのレビューに対し
「ひとの口を借りた「苦言」なんて
それはただの無責任な悪口だ」
とタカコさんが思うコマ。
第71話の
電車で泣きわめく
赤ん坊をかかえた母親に
言葉をかける老人の台詞。
などなどが印象に残りました。
あと、第74話の
ゆっくり聞けるというのは大事だ
という話の109ページのコマ
大将の奥さんの表情が好き。
第73話では
休日を過ごすタカコさんの
「誰もが いつも
無限のBGMに
取り囲まれている」(p.99)
というモノローグが
出てきます。
この話を読んで
以前ご案内の『現代音楽史』
(中公新書、2021)を
ちょっと思い出しました。
同書139〜140ページのコラムによれば
日本の場合、電力周波数は
東日本が50ヘルツ
西日本が60ヘルツなので
電気製品の発する音の高さが
東と西とで違うのだとか。
だとすれば
タカコさんは愛媛出身
という設定なので
子どもの頃と
社会人になってからとでは
サウンドスケープが違うはず。
耳がいいだけに
電気製品から聞こえる音が
違って聞こえるのかも
と考えてしまったのでした。
この話の中では
機械の発する低周波音が
描かれていませんけど
既刊のエピソードに
それを取り上げたものも
あったような記憶があります。
もっとも
タカコさんの現在の住まいが
東日本だったかどうか
ちょっと記憶にないので
上で書いたことは
確実ではありませんけど。
既刊を読み直して調べろよ
という感じですが
今ちょっと余裕がなくて。(^^;ゞ
同じ第73話には
「音楽を聴くって
逆に自分を
周りの音から隔離する
心地よさもあるんだろうな」(p.100)
というモノローグも出てきます。
ポータブルスピーカーに
スマートフォンから
音楽を飛ばして聴く場合は
CDプレーヤーみたいに
ディスクの回転音などは発しないので
おっしゃる通りかもしれない
とも思ったり。
第73話のネタは
いろいろ考えを広げられて
面白いですね。
あとがきにおける
どうやったら気を楽に保てるか
という「理想」から
タカコさんの姿勢が
「願い」になった
という言葉は
奥が深い。
それにしても
人より耳がちょっといい
という設定だけで
毎回エピソードを考えるのは
たいへんだったのではないか
とは思います。
それだけに
感想を書くのも
なかなか大変でした。( ̄▽ ̄)
それでも
これで完結とは
寂しいかぎりです。
お疲れさまでした。m(_ _)m