前回ご紹介の
『ヘンデル全集』別冊解説を繙いたり
いろいろ検索してみたりしたところ
ヘンデルの作品1の成立事情は
かなり複雑であることが
分かってきました。
そうなると俄然
興味が湧いてきまして。(^^ゞ
なお、
ここでいう「作品1」というのは
HWVの1番ということではなく
出版された作品の1番目
ということになります。
欧文では Op.1 と表記される
作品集のことですね。
いわゆる作品1は
フルート、リコーダー、
オーボエ、ヴァイオリン、
いずれかの独奏楽器と
通奏低音のための
ソナタ集です。
初版と再版は共に
全12曲でありながら
それぞれ2曲ずつ
収録曲に移動があるそうで。
しかも版元が勝手に
本来ヘンデルが指定した独奏楽器とは
異なる楽器に変更しいるものや
ニ短調からホ短調に変える
というふうに移調しているものが
あるらしく。
19世紀末に刊行された旧全集では
初版と再版に収録された曲を
すべて収めた(全14曲)上に
別の刊本に基づく
初期作と見られる3曲を足して
さらに作品1の1の元曲である
ヴァイオリン・ソナタの楽章を含む
フルート・ソナタに仕立てた自筆譜と
やはり自筆譜が残っている
晩年のヴァイオリン・ソナタを加えて
全18曲を作品1としています。
こうして書いているうちに
分かってきましたが
旧全集編集時点で分かっている
独奏楽器と通奏低音のためのソナタを
すべて作品1と見なしたみたいですね。
初版と再版に収録されていたものだけを
まとめるというのであれば
まだ話は分かるんですけど
別の刊本の楽曲だけでなく
既存曲の楽章をまとめた自筆譜を加え
作品1と見なす頭の構造が
よく分からない。
初版や再版も
ヘンデル自身の与り知らぬところで
作品1と名づけられたとはいえ
ヘンデルの死後
後年の編者がそれを勝手に
拡大版にしちゃあ、いかんだろう
と思うんですけどね。
ところが最近の研究だと
初版と再版で異動のある全4曲は
すべて偽作であるのみならず
初版と再版に未収録だったのに
旧全集で作品1に加えた初期作品の3曲の内
1曲はヘンデル作品の既存楽章を
ヘンデル以外の人間が勝手に組み合わて
1曲にしたものであり
残りの2曲は明らかに偽作、
と見なされているそうです。
もう何が何やらという感じ。(´∀`;)
でも、こういうことが分かってみると
逆に興味が湧いてくるというが
自分の性格。
というわけで
今、作品1にだけ
関心があるという。( ̄▽ ̄)
そんな中で聴いていたCD、
見つけたCDについては
また記事を改めて。