(ビクター VDC-1360、1989.2.21)
原盤のライセンスはフランスの
ピエール・ヴェラニー・レコードで
録音は1985年10月15&16日です。
昨日、答案を届けに行った横浜の
ディスクユニオンで見つけました。
本盤は
自分にとっての収集指南書である
皆川達夫の『ルネサンス・バロック名曲名盤100』に
(音楽之友社 ON BOOKS、1992.2.10)
ヨハン・クーナウ「ダビデとゴリアテの戦い」の
とりあえずの推薦盤として
紹介されている1枚です。
同書でジャケ写を見て以来
現物にお目にかかるのが
初めての1枚でもあります。
数えてみたら
実に約27年ぶりの出会いだったので
我ながらすごいなあとびっくり。
タスキ(オビ)がケースに
糊付けされていたので
買おうかどうしようか迷いつつ
結局買ってきてしまったという。(^^ゞ
まあ、いつものことですが。
「とりあえずの推薦盤として」
と上で書いたのは
皆川は上掲書で
「CDで現在あるものは」本盤だけだといい
「一生懸命演奏してはいますものの、
どうにもシマリが悪く、
あと一歩というところです」
と紹介しているから。
決してイチオシではないのに
紹介されているのは
CDで聴けるものを優先的に紹介する
という基本方針をとっているからです。
本盤を紹介するコメントの中で
かつてLPで出ていた
グスタフ・レオンハルトの演奏の方が
「演奏の質からいえば」「はるかに上位」
と書いていますから
CDになっていれば
レオンハルト盤を
推薦していたことでしょう。
ちなみに
皆川が言及したレオンハルト盤は
のちにCD化されました。
店頭で見つけた時に
即行で買ったのは
いうまでもありません。
ですから曲としては
皆川いうところの
「はるかに上位」の演奏で
持っているし聴いているのですが
まだバロック音楽の初心者だった自分を
偲ぶよすがとして買った
という感じかなあ。
何といっても
27年ぶりの出会いなわけだし。
本盤はバロック時代に
チェンバロのために書かれた
戦争を描写した標題音楽が
収められています。
クーナウ(独)の他に
ジャン=フランソワ・ダンドリュー(仏)
フランソワ・クープラン(仏)
ヨハン・カスパル・ケルル(独)
ジローラモ・フレスコバルディ(伊)
ウィリアム・バード(英)
といった面々の曲が収められています。
タイトルには
「ヴェルサイユの」とあるので
フランスだけのように思われますが
実際はチェンバロによる諸国めぐり
といった趣きですね。
使用楽器は
ブランシェと
リュッカースが使われていて
曲によって調律を変えており
意外と正統的な古楽器演奏なのでした。
奏者のブロスは
ロベール=ヴェイロン・ラクロワや
ローランス・ブーレイといった
いわば旧世代の演奏家に
師事したようです。
タスキ(オビ)には
チェンバロのエキスパート
と書いてありますが
これは原明美が書いている解説の
「ピアノからスタートしたのではなく
最初から本格的にクラヴサンを学んだ」
「いわばクラヴサンのエキスパート」である
という記述に基づいています。
ピアノからの転向ではなく
最初からクラヴサン
すなわちチェンバロを学ぶ
という演奏家は
今では当り前なので
それだけでエキスパートなのか
と思っちゃいますけど
当時はまだ珍しかったことを
偲ばせるにたる表現ですね。
チェンバロのエキスパート
といわれている(いた)わりに
ブロスのCDが
今回の盤以外にも出ていたかどうか
あいにくと記憶にありません。
タワーレコード・オンラインで
検索してみると
主に本盤と同じレーベルから
最近まで割とコンスタントに
録音してきてるようでした。
日本流通盤として紹介されることが
あまりなかったので
日本での知名度が低いだけ
ということのようです。
海外チェンバリストあるある
という感じですね。( ̄▽ ̄)