この時期になると思い出す1冊です。
(角川文庫、1977年3月10日発行)
1976年に角川書店から出た
初期作品を集成した同題の短編集は
文庫化するにあたって
2分冊となりましたが
本書はその1冊目にあたります。
基になった単行本は
当時は中学生でしたから
懐の都合で、でしょう
買っておりませんで
こちらの文庫本で読みました。
出た当時
新刊で買っているにも拘わらず
オビがないのは
若気の至りで
取り去ってしまったからです。
表題作は横溝正史のデビュー作で
雑誌『新青年』が行なっていた
懸賞探偵小説という募集に投じて
一等入選を果たしたものです。
掲載されたのは
これはたまたまでしょうけど
初出は1922(大正10)年の
『新青年』4月号でした。
初出誌では
目次では「恐ろしき四月馬鹿」
本文では「恐ろしきエイプリル・フール」
と表記されていましたが
1975年に講談社から刊行された
『新版横溝正史全集』に初めて収録された際
現在の表記に改められ、定着したようです。
上にも書いた通り
この時期になると
いつも思い出すのですが
たいていは思い出すだけで
読み返すことはありません。(^^ゞ
今年こそはと思っていましたが
ゲラ照合その他の仕事が終わらず
読み返せませんでした。
角川文庫版は
絶版となって久しいのですが
現在では、柏書房から出ている
『横溝正史ミステリ短篇コレクション』に
(柏書房、2018年1月5日発行)
1冊まるごと再録されていますので
読むだけなら簡単にできます。
ちなみに
「恐ろしき四月馬鹿」で探偵役を務める
旧制中学の生徒・速水建三は
翌年に発表された
「化学教室の怪火」にも再登場するので
横溝作品における最初期のシリーズ探偵
ということになります。
同作品は
論創ミステリ叢書の
『横溝正史探偵小説選I』で
読むことができます。
(論創社、2008年8月30日発行)
論創ミステリ叢書には
「恐ろしきエイプリル・フール」も
採録されていますので
シリーズものとして楽しめます。
オビにもある通り
当時は横溝家に残されていた旧蔵書の整理が進み
未発見の原稿が発表、公開されて
話題になったものでしたが
それがもう10年以上も前のことだとは
時の流れは速いものですね。
柏書房の本が出たのは去年ですから
もちろん新刊で買えるでしょうし
論創社の本もまだ入手可能だと思います。
もっとも両書とも
ややお値段が高めだというのが
悩ましいところなんですけれども。
角川文庫版を持っているのに
論創社版はともかく
柏書房版まで持ってる自分は
いわゆる病膏肓というやつです。( ̄▽ ̄)