パッヘルベルは器楽曲だけでなく

声楽曲も数多く作曲しています。

 

数多く、とはいいながら

パッヘルベルの作品のみを収めた

手許にあるCDは

下の1枚のみだったり。

 

『パッヘルベル:モテット集』(輸入盤)

(独 Christophorus: CHE 0050-2、1994)

 

アナログ録音をCDに移したもので

マルPが1985年となっています。

 

でも収録時間が63分弱なので

レコードから移したとは考えにくい。

 

もっとも、何枚かのレコードから

再編集したのであれば

原盤がレコードだというのも

ありえますけど。

 

 

タイトルの Motetten というのは

モテット集という意味でしょう。

 

演奏は、ヴェルナー・ヤコブ Werner Jacob 指揮

カベラ・ゼーバルヂィナ・ニュルンベルグ

Capella Sebaldina Nürnberg で

合唱のオルガン伴奏を

アンドレアス・ヤコブ Andreas Jacob が担当、

2曲入っているオルガン曲の演奏は

ヴェルナー・ヤコブです。

(読み方、あってるかな?)

 

 

本盤は

中古で見つけたのか新譜で買ったのか

昔のこととて忘れましたけど

パッヘルベルの声楽曲集は珍しいと思って

買ったんでしょうね。

 

昔の録音だけあって

Jean M. Perreault によるP番号は

併記されておりません。

 

英語版 Wikipediaの

List of compositions by Johann Pachelbel に拠れば

パッヘルベルの整理番号は

Kathryn J. Welter による

1998年のPC番号がいちばん古そうなので

1994年にリリースされたCDに

整理番号を付けようもないわけでして。

 

そこで、よい機会なので

List of compositions by Johann Pachelbel も参考に

曲名と編成から当たりをつけてみました。

 

結果は以下の通り。

 

 

01.新しい歌を主にむかって歌え

   Siget dem Härm ein neues Lied. P424

02.リチェルカーレ ハ短調

03〜05.ミサ・ブレヴィス ニ短調 P358

06.Der Herr ist König(主は王であられ)P78

07.感謝せん 神に Nun danket alle Gott. P381

08.神にむかって喜びの声を上げよ

   Jauchzet dem Herrn. P213

09.マニフィカト ニ長調 P246

10.Der Herr ist König(主は王であられ)P79

11.エクスルガート・デウス Exurgat Deus. P122

12.Der Herr ist König(主は王であられ)P77

13.Tröste, tröste uns, Gott

  (神よ われらに慰めを示し)P474

14.トッカータ ハ短調

15.神はわれらの確信にして強さ

   Gott ist unser Zuversicht und Stärke. P175

 

 

検索して、既訳が分かったものは

そちらを優先させ

既訳が分からないものは

原題のあとに試訳を付けときました。

 

試訳といっても

手許にある新改訳だかの旧約聖書を

参考にさせていただきましたけど。

 

 

エクスルガート・デウスは

マニフィカトのように

カタカナ表記が一般的のようですけど

これじゃ意味が分からず

もどかしいかぎり。

 

エクスルガートは

「上げる」という意味だと

検索すると出てきますけど

ということは例えば

「デウスを称えよ」というような意味に

なるのかしらねえ。

 

 

ミサ・ブレヴィスは

「小ミサ」とも訳されます。

 

一般的なミサ曲の構成は

キリエ-グロリア-クレド-サンクトゥス-アニュス・デイ

という5部構成なのに対して

ルター派の場合

キリエとグロリアだけで構成したものがあり

それをミサ・ブレヴィスと呼びました。

 

バッハが作曲したものも

4曲ほど残っています。

 

ここに収録されている

パッヘルベルのミサ・ブレヴィスは

キリエとグロリアに加え

クレドも含まれており

詳しいことは生憎と分かりませんが

ちょっと変わり種かもしれません。

 

 

本盤の中心をなすモテットというのは

ルネサンス期に完成を見た

多声楽部の宗教曲のことです。

 

ここに収録されたものは

詩篇の言葉が基になっていますけど

各声部がひとつの旋律を

模倣し追いかけていくように歌うのを基本とする

そういうタイプの合唱曲です。

 

バッハなんかも書いていますが

ポリフォニックな旋律を楽しむのに

取っ付きやすいので

いっとき(バッハの曲を)

よく聴いておりましたけど

器楽曲に比べるとやっぱり敷居は高く

どこがどう良いかを説明するのは難しい。

 

 

本盤の演奏については

他の奏者の演奏を聴いたことがないので

それと比較して

これがいい、あれがいいとも

いいがたく。

 

独奏オルガン曲として

ハ短調のリチェルカーレとトッカータが

ニュールンベルグの

聖ゼーバルト教会 St. Sebalt のオルガンで

弾かれていますけど

ちょっと音の響きが今ひとつという感じ。

(特にリチェルカーレがなあ……)

 

そんなこんなで

素直に、これはいいよと

おススメしがたい1枚だったりします。

 

 

じゃあ、なぜ記事にしたんだ

という感じですが

鍵盤曲の全集を聴いたことでもあり

いい機会なので

手許にあるパッヘルベルのCDを

総ざらえすることにした次第なのでした。

 

まあ、これで

パッヘルベルの声楽曲全集

なんてものが

もし出たりしたら

また買ったりするんだろうなあ。

 

 

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