(アブソードミュージックジャパン ABCS-38、2003.8.27)
販売元はキングレコードで
原盤は1973年にリリースされました。
タイトルは
ジャケ表が『ギター独奏集/祖母の昔語り』
タスキ(オビ)が『楢山節(祖母の昔語り)』
ジャケ背とジャケ裏が
『ギター独奏集/楢山節(祖母の昔語り)』
という具合にバラバラなんですけど
ここではジャケ背とジャケ裏に拠りました。
松原智恵子の
一緒に見つけた1枚です。
深沢七郎といえば
『楢山節考』(1957)と
「風流夢譚」(1960)の作者
というくらいの認識しかなく
小説を書く以前はギタリストとして
コンサートも開いていたとは
思いもよらず。
このCDも
『楢山節考』の作者が
「楢山節」を自作自演しているのか
珍しいなあ、というくらいの気持ちで
買ったのでした。
楢山節に関しては
横溝正史が『悪魔の手毬唄』を
雑誌『宝石』に連載する際
(連載第1回は1957年)
童謡殺人に使える唄がなくて
悩んでいたところ
ラジオか何かで
楢山節が深沢の創作であることを知り
自分も作ればいいと思い
鬼首村手毬唄を創作した
というエピソードで知っているくらい。
原作はいまだに読んだことがなく
映画も観たことがありません。f^_^;
鬼首村手毬唄は
映画やテレビで聴いて
知ってるんだから
横溝にインスパイアを与えた
楢山節も知っとかなきゃね
くらいのノリで
買ってみたわけです。
そしたら
上にも書いた通り
ギタリストとしての経歴が長いことを
知ったわけですけど
収録曲が
「楢山節」以外は
正統的なギター音楽であったため
びっくりさせられたのでした。
「楢山節」以外の収録曲は
小栗孝之の曲が3曲
武井守成の曲が4曲
平山英三郎の曲が1曲ですが
すべてアコースティック ギターによる
アルペジオ奏法で演奏されています。
深沢七郎に
『深沢ギター教室
あなたも「禁じられた遊び」が弾ける』(1973)
という著書があることを
今回、検索して初めて知りましたが
アルペジオ奏法というのは
上記の本の副題にある
「禁じられた遊び」みたいな演奏法。
YouTube に
小栗孝之作曲「噴水」の演奏が
アップされていたので
貼り付けておきましょう。
フォークやポップスの
ストローク奏法とは違う雰囲気で
実に哀愁のある響きを聴かせてくれて
どことなく古賀政男のような雰囲気もあり
小説家の余技の域を越えています。
もっとも、
小説家としてデビューする前の
ギタリストとしてのキャリアが長いので
余技の域を越えているというのは
感想としては倒錯しているわけですけど。(^^ゞ
ライナーに誤植の多いのが
気になるものの
これはおススメ。
クラシック ギター愛好家には
特におすすめです。
「楢山節」では
深沢七郎の語りと歌も聴けます。
遅ればせながら
『楢山節考』を
読んでみたくなりました。