1960年代後半の日本において
シルヴィー・バルタンや
フランス・ギャルと並ぶ
人気を得ていながら
フランス本国ではパッとしなかった
ポップスのアイドルに
マージョリー・ノエルがいます。
日本でどれくらい人気があったか
ということは
ヒット曲「そよ風にのって」(1965)が
漣健児の日本語詞が当てられ
弘田三枝子や伊東ゆかり、ザ・ピーナッツ
さらには南沙織、麻丘めぐみ、浅田美代子など
多くのアイドル的な歌手によって
カバーされていることからも
想像されるわけですね。
その「そよ風にのって」の
日本でリリースされた
シングル・レコードがこちら。
(キングレコード HIT-1250、1965)
フランスでは
2枚目のEP盤のB面に
収められています。
自分は最初
ザ・ピーナッツや伊東ゆかりが
カバーしたものを聴いたのですけど
なかなか良い曲だったこともあり
オリジナルも聴きたい
と思っていたところ
確か新宿のディスクユニオンで
見つけたのでした。
原曲の方もなかなかの名曲で
Wow Wow Wow という
女声コーラスをバックに
テンポ良く颯爽と歌われており
声も爽やかで可愛らしい。
ウェスタン調の
ギターのリフも快調で
特撮ファンであれば
『風雲ライオン丸』(1973)の主題歌を
連想させられるでしょう。
B面の「慕情の季節」は
ユーロヴィジョン・コンテスト
参加曲だそうで
だからというわけでしょうか
しっとりとしたバラード調の1曲です。
解説は
この時期のフランス洋盤の
ライナーではお馴染み
Radio JOQR(文化放送)プロデューサー
金子貞男が書いています。
簡にして要を得た解説で
資料としても役に立ちますね。
ライナーは4ページあり
内側の2ページに
原詞とその訳が載っています。
レコードを収めたスリーブには
紙スリーブとは別に
半透明のビニール袋も付いてます。
これが当時の仕様なのかどうか
ちょっと判断がつきません。
他の曲も聴いてみたいところですが
マージョリー・ノエルのみの
ベスト盤CDというのは
現在のところ、出ていないようです。
Wikipedia によれば
1964年にデビューして後
7枚のEP盤をリリースして
1967年に引退したとのことですから
残された曲は少なくとも28曲あるはず。
にもかかわらず
1枚もののベスト盤が
出ていないわけですから
その後の日本での人気も
シルヴィー・バルタンや
フランス・ギャルには
及ばなかったことを
うかがわせます。
現在の洋楽ファンには
知られていないかもしれませんが
「そよ風にのって」1曲だけでも
記憶に残っていることで
もって瞑すべし
というところでしょうか。