前回の記事を書くために

「茶目子の一日」について

いろいろと検索していたら

平井英子のベスト盤が出ていることを

知りました。

 

『スター☆デラックス 平井英子』

(JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

 VICL-64221〜2、2014.9.17)

 

「茶目子の一日」という楽曲が

初めてリリースされたのは

1919(大正8)年のことだと

物の本に書かれているというか

前回にも紹介したCD

『浅草オペラ 華ひらく大正浪漫』の

ライナーにも

(ちょっと分かりにくいんですけど)

書かれています。

 

ただ、もっとも知られているのは

1929(昭和4)年にリリースの

平井英子の録音で

前の記事でも書いた通り

上記CDに収められていたのも

平井バージョンでした。

 

 

CD『浅草オペラ』に収録されているのが

レコードのA面だけだということは

前の記事でも書いた通りですけど

今回紹介する盤にはB面も収録されています。

 

それだけではなく

続編にあたる

「チャメ子の曲馬団見学」(1933)も

収録されていて

続編があるなんて初めて知りましたが

これは嬉しかったですね。

 

もっとも続編の宿命で

音楽的には「茶目子の一日」に

及ばない印象です。

 

チャメ子さんと

ペチャ子さんとのやりとりは

面白いんですけど

(作詞は久保田宵二)

作曲が中山晋平だけあって

といっていいのかどうか、

歌われる曲が

童謡になってしまっているのが残念。

 

 

「茶目子の一日」は

作詩・作曲の佐々紅華が

浅草オペラの嚆矢といわれる

『カフェーの夜』(1917)を

作曲した人物だけあって

子ども向けとはいえ

きわめて軽快かつモダンです。

 

童謡のように整っておらず

枠にとらわれない面白さがありますね。

 

ちなみに『カフェーの夜』の楽曲の内

「コロッケーの唄」と

(♪今日もコロッケー 明日もコロッケー)

「おてくさん」が

CD『浅草オペラ』に収録されています。

 

 

なお

CD『浅草オペラ』に

A面しか収録されなかったのは

てっきり収録時間の関係だと

思っていたのですが

今回の盤のライナーにある

注意書きを読んで

どうやら「いざり(ゐざり)」という

差別用語に配慮した結果ではないか

と思い至りました。

 

実をいえば

高橋クミコ版でも

「いざり」という言葉は使われず

「おとこ」となっています。

 

それも今回の盤で聴いて

初めて分かりました。

 

 

本CDは2枚組で

CD1が「名作童謡集」

CD2が「流行歌集」なんですけど

その「流行歌集」の中に

「タバコやの娘」が入っていて

なんと高橋クミコは

平井英子の歌を

2曲もカバーしていたのかと

びっくりさせられた次第。

 

「タバコやの娘」のオリジナルが

平井英子だとは

お恥ずかしいことに

ぜんぜん知りませんでした。

 

オリジナルの出来栄えは

高橋クミコ版に及ばないとはいえ

1937(昭和12)年ですからね

当時のモダニズムが垣間見られて

嬉しいかぎりです。

 

 

その他

「名作童謡集」では

定番の童謡が

一部は中山晋平のピアノ伴奏で聴けて

感涙もの。

 

「流行歌集」になると

平井英子が、戦後でいうところの

アイドル的な立ち位置であることが

たいへんよく分かると同時に

珍しい戦時歌謡や

大陸歌謡なんかも聴けるので

資料的にも嬉しいかぎりです。

 

 

なにより

びっくりさせられたのは

音がいい。

 

どうしてこんなに

ノイズが少ないのか

というより

ノイズがまったくありません。

 

奇跡としかいいようがないなあ。

 

 

ちなみに

Wikipedia によれば

本盤の制作・発売がきっかけで

平井英子が存命だと

分かったのだとか。

 

今年の1月で100歳を

迎えたようです。

 

これにもびっくりでした。

 

 

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