前回の記事でふれた

niina 関連のインタビューにおいて

上田禎が言及している

シャンソン歌手のクミコ。

 

その前回の記事中で

「夢みるシャンソン人形」を

カバーしているため

たまたま名前を知っている

と書きましたけど

そのカバーが収録されたCDが

こちら↓の『愛の讃歌』です。

 

クミコ(愛の讃歌』

(prime direction inc.: IOCD-2003、2002.11.20)

 

prime direction inc. は

制作(?)と発売元で

販売元は avex distribution です。

 

レーベルは

ave io(エイベックス イオ)で

「オトナのエイベックス」というのが

キャッチフレーズ。

 

販売番号の頭に「IO」とあるのは

それに由来すると思われます。

 

 

「オトナ」を

キャッチフレーズにすることで生じる、

趣味に関しての

ある種の階級制といったものは

スノビズムにつながりやすいので

好みではありません。

 

ただ、このCD自体は

フランス・ギャル以外にも

フランスワーズ・アルディの

「もう森へなんか行かない」のカバーが

歌われていたりして

ちょっとトクした気分ではありますかね。

 

「もう森へなんか行かない」の

日本語詞によるカバーは

かなり珍しいと思いますし。

 

ちなみに本盤では

クミコ自身が詞を填てています。

 

 

肝腎の「夢見るシャンソン人形」ですが

「デジタル人[びと]編」という

副題が付いており

セルジュ・ゲンズブールはもちろん

岩谷時子の歌詞とも

違った世界観を提示しています。

 

ボーカロイドのような

デジタル系の架空アイドルを

イメージしたような歌詞が

ピコピコ・サウンドをバックに

歌われていきます。

 

原詞からのズレ具合

というかパロディ具合は

ジューシィ・フルーツの

「夢見るシェルター人形」の路線に

連なるかと思いますが

「毒」という点において

シェルター人形に一歩譲る感じ。

 

原詞のイメージを

現代に置き換えたつもりかも

しれないんですが

リリース当時としてはともかく

それから15年近く経った今では

申し訳ないんですけど

諷刺としては素朴の感が拭えません。

 

 

作詞はサンプラザ中野。

 

編曲は菊地成孔と谷川賢作。

 

谷川賢作は

詩人の谷川俊太郎の息子で

『鹿鳴館』(1986)以降の

市川崑監督の映画で

音楽を担当している人です。

 

 

あと

他の収録曲と並ぶと

世界観や曲の印象がかなり異なるので

「オトナ」というコンセプトから

逸脱しているような気がします。

 

他の曲が

かなり正統的に(「オトナ」に)

シャンソンしていることもあって

余計に違和感を覚えさせるのが残念。

 

「夢見るシャンソン人形〜デジタル人編」

という曲自体は、単独で聴くと

コミカルで軽快な小品なんですけど。

 

 

ちなみに

歌い方というか

フレーズごと(?)の発声の切り方

歌い流し方とでもいうものが

越路吹雪の歌う

「夢見るシャンソン人形」を

彷彿させるところがあって

興味深かったです。

 

シャンソン歌手といわれる人の

発声法の特徴に

由来するんでしょうかね。

 

 

クミコは

本盤に収録された

「わが麗しき姫君」がブレイクして

シャンソン歌手として

ブレイクしたようですね。

 

ただ、個人的には

本盤よりも

ブレイク前にリリースされた

『世紀末の円舞曲[ワルツ]』

(1996)の方が

好みです。

 

クミコについての

Wikipedia の記事を読んで

興味を持ち、買って

聴いてみたんですけど

なかなかステキな盤でした。

 

『世紀末の円舞曲』が

示しているような世界観こそ

自分の思う「オトナ」な世界に

近いと思っています。

 

そちらについては

また次の機会にでも。

 

 

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