『ONE WAY CALL』

(徳間ジャパン TKCA-30277、1991.7.25)

 

こちらが

「涙のシャンソン日記」を

藤 真利子がカバーした「アブナイ彼」の

大西結花バージョンが収録されている

アルバムです。

 

「アブナイ彼」自体は

『ゴールデン☆ベスト』(2004)に

収録されているのですが

どうせ聴くなら(買うなら)

初リリース盤で聴きたい

と思って、買い控えていたところ

幸いにもこちらの盤を

新宿のディスクユニオンで

見つけることができました。

 

 

大西結花といえば

『スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇』

(1986〜87)の

風間三姉妹・長女役で有名で

自分もご他聞に洩れず

そちらで知りました。

 

それ以降の活動は

テレビをほとんど観ていなかったので

知りませんでして

川端康成原作の映画

『眠れる美女』(1995)など

ちょっと観てみたいと思っていながら

いまだに観ていない始末。

 

むしろ『スケバン刑事』以前の

『台風クラブ』(1985)や

『BE FREE!』(1986)の方を

観ているという

不思議な御縁なのでした。

 

『BE FREE!』は

当時、大学院の先輩だった方が

「わかんなーい」という台詞が絶品だと

称讃していたのを

いまだに記憶しています。

 

 

歌手としての活動も

風間三姉妹としてのそれしか知らず。

 

フランス・ギャルのカバーを

歌っていなければ

買うことも調べることも

なかったと思うと

縁というものの不思議さを

思わずにはいられません。

 

 

改めてライナーを見てみると

「作詞/ビビアンリ」と表記されていて

これじゃあ、事情通でなければ

誰かスタッフがやった

このときだけの翻案だと

思いますよねえ。

 

まさか藤 真利子だとは

思いもよらず。

 

 

「アブナイ彼」を

大西結花の歌で初めて聴いたときは

タイトルにもなっている原詞

Attends ou va-t'en

(アトン・ウ・バトン)との

語呂合わせの上手さに

感心したものでした。

 

「ア」しか合ってないじゃないか

と言われそうですけどσ(^_^;)

♪アトゥーン、バトゥン

という歌い回しと

♪アブーナ、イー

という譜割りとが

日本語のアクセントとしても

不自然でなく

まさにベストマッチ!

 

原曲を知っていればいるほど

日本語詞を一度聴くと

耳について離れません。

 

それが曲全体の印象を決める。

この場合は良い方に。

 

ああ、歌というのは

こういうもんなんだなあ、と

つくづく思わされた次第です。

 

 

藤 真利子版と聴き比べてみると

大西結花は上手く歌おうとしている

という感じですかね。

 

藤 真利子の歌い方は

棒読みに近い歌い方で

これはフランス・ギャルの歌い方を

意識したものと思われますが

大西結花はフレーズの語尾に

揺らぎを加えて

表情を付けようとしている感じ。

 

それ自体は

きわめて真っ当なアプローチなんですけど

藤 真利子の歌を聴いた後だと

理不尽にも

真っ当過ぎるという気がしてくるから

不思議なものでして。

 

大西結花ファンなら当然

大西版をいいと思うでしょうけれど。

 

 

あと、大西版はイントロ部分で

バイクのエキゾースト音を

SEで入れているんですが

それがちょっと余計な気がします。

 

エンディングは

『スケバン刑事』の効果音みたいに

♪ダダダダッ、ダダダダッ!

と音符をあげていく終わり方で

上記、SEとも相俟って

ドラマの挿入歌のような印象を残します。

 

これも好みの分かれるところかな。

 

 

「涙のシャンソン日記」の

日本のアーティストによるカバー、

特に「アブナイ彼」以降のカバーは

自分の聴くことができた範囲だと

どれもエンディングが長すぎると思います。

 

海外では

実は2007年に

シルヴィ・バルタンが

本曲をカバーしているのですけど

エンディングの切れ味が実に見事で

個人的には好みですね。

 

これも時代相というものでしょうか。

 

 

『ONE WAY CALL』には

フランス・ギャルの曲の他に

竹内まりや「プラスティック・ラヴ」の

カバーも収められています。

 

また、「アブナイ彼」ほかに

バックコーラスで参加している

RAJI というのは

RAJIE(ラジ)のことでしょうか。

 

この頃の音楽シーンには

まったく関心がありませんでしたので

アルバムのコンセプトや魅力を

きちんとお伝えできないのが

残念なんですけど

全体的に

バブル崩壊前夜の

ラグジュアリー感が出ている

ということになるのかも。

 

 

ちなみに

タスキ(オビ)に書かれている

「午前2時のSA・YO・NA・RA」が

挿入歌だったという

『(所)印の車はエライ!』(1990〜92)

という番組は

あいにくと知りませんけど

Wikipedia に項目が立ってました。

 

その項目を読むと

こういう番組があった時代だから

大西結花が「アブナイ彼」を歌ったのか

と思ったりもしたことでした。

 

 

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