ラファエル・プヤーナが

ヒストリカル・チェンバロを弾いた録音は

自分の知るかぎり1枚

(もしかしたら2枚)あると

前の記事で書きましたけど

その1枚が今回紹介する盤です。

 

『ファンダンゴ/スペインのヴィルトゥオーソ・チェンバロ音楽』

(ポリグラム POCL-5233、1996.10.2)

 

タスキ(オビ)にある副題

「スペインのヴィルトゥオーソ・

チェンバロ音楽」というのは

原題にある副題を

少し省略したものです。

 

ポリグラムは

日本での発売・販売元でして

原盤のレーベルはオワゾリール、

原盤の発売・販売はデッカで

1990年にリリースされた模様。

 

ついでながら、上掲は

オワゾリール NEW ベスト50

というシリーズに入った再発盤で

初リリース盤と

ジャケのデザインが異なります。

 

(持ってませんが

 Amazon にジャケ写がアップされており

 そちらで知った次第です)

 

 

使用楽器は

ハースが1740年に制作した

3段鍵盤のジャーマン、

1720年に制作された製作者不詳の

1段鍵盤のスパニッシュ、

ブーランシェ制作

2段鍵盤のフレンチのコピーと

タスカン制作

2段鍵盤のフレンチのコピー。

 

4台のヒストリカル楽器(と

そのコピー)を駆使しての録音で

ちょっとした音の展覧会

といった観がありますね。

 

 

ソレールとスカルラッティを中心に

スペインのチェンバロ音楽が14曲

収録されています。

 

ポルトガルということで外したのか

90年代初頭はまだレパートリーとして

「発見」されていなかったのか

セイシャスの演奏が

収録されていないのは

ちょっと残念。

 

 

とはいえ冒頭の

ハース制作のジャーマンで弾かれた

ソレールのファンダンゴは圧巻。

 

13分にもわたる演奏で

本盤の中ではいちばん長い。

 

これを冒頭に持ってきたら

他の短い曲の印象が

弱くなっちゃうんでは

と思ったのですけど

それは杞憂でした。

 

続く

フライ・マヌエル・デ・ソストアのアレグロも

フライ・ホセ・デ・ララニャーガのソナタも

短いのに情熱的な響きを聴かせてくれます。

 

さすがスペインという感じ。

 

割と名前が知られている方では

マヌエル・ブラスコ・デ・ネブラのソナタも

実にいいですね。

 

 

他に

スカルラッティのファンダンゴも

収録されています。

 

演奏時間は8分弱で

ソレールの曲より短いだけでなく

演奏はゆっくりめなので

疾走感があまり感じられないのが

ちょっと残念。

 

スカルラッティのファンダンゴに関しては

曽根麻矢子の演奏に軍配を上げたいところ。

 

 

それにしても

この盤を聴くと

ヒストリカル・チェンバロの響きは

ほんとに素晴しいというふうに

つくづく思わされます。

 

響きだけに関していえば

本盤を聴いた後に

プヤーナの

マーキュリー時代の録音を聴くと

誰が聴いても、全然違うことが

一目瞭然ならぬ一聴瞭然かと。

 

 

モダンにはモダンの技法があり

その蓄積がある以上

一概に否定することはできない

ということは

前回紹介したブログ

Spinettreparatur の

コメント欄のレスにも

書いてありました。

 

それはすごく納得できる考え方だし

ヒストリカルが好きでありながら

それを絶対視せず

上のように書けるブログ執筆者の

バランス感覚には

敬意を表したいと思います。

 

それに

モダンに合わせて作られた楽曲は

モダンで弾くのが

オーセンティックな演奏ということに

なるのだろうと思いますし。

 

 

ただ、それはそれとして

ヒストリカルが当たり前だった

時代に作られた曲は

やっぱりヒストリカルで聴くのが

いちばんいいということを

本盤を聴くと

つくづく感じさせられるのも

事実なんですよね。

 

プヤーナのように

モダンとヒストリカルの

両方の録音が残っていると

それがよく分かります。

 

その意味で

前回紹介した2枚も

今回の1枚と聴き比べてなんぼ

という意味での

おススメ盤といえます。

 

 

ちなみに

前回のブログで

プヤーナのヒストリカルでの演奏が

もしかしたら2枚あるかも

という含みを残したのは

弟子のクリストファー・ホグウッドと

一緒にクープランを弾いている

CDが出ているらしいからでして。

 

新譜としてカタログに載っている時に

現物を手にとる機会を逃しましたし

残念ながら廃盤のようですが

ちょっと聴いてみたい気もします。

 

もし手に入るようなことがあれば

こちらで紹介したいと

思っています。

 

いつになるやら

分かりませんけど。(^^ゞ

 

 

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