(CBS Records: CBS 80147、1974)
夏期講習の帰りに寄った
立川のディスクユニオンで
見つけた1枚です。
中古・新入荷の棚を
あさっていたら
目にとまったのですが
Madrigals というタイトルに
まず釣られまして。
というのも
マドリガルというのは
16世紀のイタリアで隆盛を極めた
世俗音楽に由来していて
イタリアではマドリガーレ
と呼ばれており
そのイギリスでの呼び名が
マドリガルなわけです。
ジャケット裏面のライナーを見ると
トムキンズやバード、
ダウランドといった
イギリス・ルネサンス期の
音楽家の名前に混ざって
ハンス・レオ・ハスラーの名前も
載っていたことでもあり
輸入盤でよく分からないけど
とか思いながら
買ってみた次第です。
ところが
ジャケ裏のライナーを書いている
Ward Swingle を
帰ってから検索してみたら
なんと、びっくり
スイングル・シンガーズの指揮者
ウォード・スイングルでした。
そのウォード・スイングルが
初代スイングル・シンガーズ解散後
イギリスに渡って結成したのが
Swingle II(スイングル・ツー)なのです。
本盤はイギリス盤で
アメリカ盤のタイトルは
Love Songs for Madrigals and Madriguys
といい
米コロムビアからリリースされました。
英語版 Wikipedia には
本盤の項目が立てられており
収録曲(トラック)がアップされている他
米盤のジャケット写真も
載っています。
中古・新入荷の棚に
地味に紛れ込んでいましたけど
実は超有名盤だったようです。
演奏自体は
ルネサンス・バロック音楽に
それなりに関心を持っていれば
そこそこ楽しめます。
ただ、歌詞カードがないのと
伴奏楽器に電子ピアノや
シンセサイザーなんかも使っていて
オーセンティックな古楽演奏ではないのが
不満というか
どストライクとはいいがたく。
1970年代に
ポピュラー音楽として
ルネサンス時代の声楽曲が
受容されていた
証左となる1枚としては
貴重だと思いますけどね。
もっとも、声楽曲は
器楽曲とは違い
人間の声が主体なので
作曲された当時の響きを
割と伝えているかも知れません。
そもそも
スイングル・シンガーズの音楽が
バッハをジャズ風にアレンジして
スキャットのコーラスで聴かせる
というものでした。
ですから
いわゆる古楽とは違う
といって難詰するのは
する方が無茶なわけです。(^^ゞ