『思い出を置く 君を置く』LP通常盤

(CBSソニー 27AH-980、1980.7.1)

 

太田裕美、12枚目の

オリジナル・アルバムです。

 

これは

新宿か立川のディスクユニオンで

見つけたものではなかったか、と。

 

 

歌詞はすべて

サトウハチローの詩集から

採用されたもので

歌謡曲のために書かれたものは

ありません。

 

全曲、

今ではすっかり

ドラクエの作曲者として

知られるようになった

すぎやまこういちが

曲を付けています。

 

演奏は

ヒロミック弦楽合奏団

となっていますけど

デビュー35周年記念企画BOX

『All Songs Collection』(2008)の

ライナーによると

東京ヴィヴァルディ合奏団の

メンバーだったようです。

 

チェンバロを使った曲も

2曲ほどありますが

東京ヴィヴァルディ合奏団なら

モダン・チェンバロではなく

ヒストリカル楽器(のコピー)

でしょうか。

 

 

だから

というわけではないでしょうけど

既存のクラシックを使用した楽曲が

2曲、収録されています。

 

ひとつはA面6曲目の

「少年の日の花」で

メンデルスゾーン作曲

ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64 の

第1楽章が引用されています。

 

もうひとつはB面6曲目、

アルバム表題曲でもある

「思い出を置く 君を置く」で

モーツァルト作曲

セレナード第13番 ト長調 K.525

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の

第2楽章が引用されています。

 

 

という具合に

いろいろと歌謡曲離れした

異色盤なのですけど

A面5曲目の

「ことしも春の中にいる」は

いかにも太田裕美テイストな

歌謡曲調ですし

B面3曲目の

「知らないところで……」の伴奏は

ボサノバっぽいテイストが

感じられます。

 

A面3曲目

「モモンガー モモンガー」の

コミカルなタッチは

後年の

『I do, You do』(1983)収録曲や

日本の童謡を歌うときのような

感じがしますね。

 

 

前回の記事にも書いた通り

『ダンスリー』のライナーで三橋一夫が

「クヮルテットだけで

ドラムスもエレクトリックも

なしのLP」と書いていたのは

本盤のことだと思います。

 

ヒロミック弦楽合奏団は

ヴァイオリン7

ヴィオラ2、チェロ2

コントラバス1

チェンバロないしピアノ1なので

明らかに

クヮルテット(四重奏)

ではありませんけれども。( ̄▽ ̄)

 

また

「エレクトリックもなし」

というのが

エレキなどの

電気系の楽器を使っていない

という意味なら

確かにそうですけど

「モモンガー モモンガー」では

明らかに、ヴォーカルに

エフェクトがかかってます。

 

ですから、三橋が

執筆時に意図していたと思われる

電気的なエフェクトをかけない

素朴な(?)味わいという意味では

微妙に異なっている気もします。

 

でもまあ

他に該当するLPもないので

『ダンスリー』のライナーに

言及されていたのは

おそらく本盤でしょう。

 

 

歌詞カードの表紙は

下の写真で分かる通り

虹色のグラデーションになっていて

 

『思い出を置く 君を置く』歌詞カード表紙

 

歌詞自体も

虹色のグラデーションに

なっています。

 

『思い出を置く 君を置く』歌詞カード

 

上の写真だと

分かりにくいかもしれませんが。

 

 

なお

『太田裕美白書』(2000)の

本人解説によれば

「当時のソニーの

 最新録音技術を使って

 通常よりいい音で

 聴くことができるレコード」を

「別売りで販売」したそうですが

レコード番号からすると

自分が入手したのは

通常版なのは明らか。

 

なお

上記『All Songs Collection』収録の

復刻版のタスキ(オビ)は

下のようにピンク色であり

 

『思い出を置く 君を置く』CD復刻盤

 

手持ちの盤と

オビの色が異なっています。

 

これはおそらく

復刻盤のCDが

「別売りで販売」された

マスター・サウンド盤に

基づくのではないかと

思うわけでして。

 

もっとも

そのマスター・サウンド盤を

しかもタスキ(オビ)付きを

見つけないことには

ほんとにそうなのかどうか

分からないんですけどね( ´(ェ)`)

 

 

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