前回のレポートでは
SP盤レコード・コンサートでかかった
楽曲の作曲者や演奏家について
いろいろと蘊蓄をたれましたけど
現在では馴染みの薄い
作曲家・演奏家について調べる際
役に立ったのが
今回紹介するCD-BOXです。
(左:声楽・女声篇
山野楽器 YMCD-1024/27、1995
右:来日アーティスト篇
山野楽器 YMCD-1074/78、1999)
「声楽・女声篇」は4枚組
「来日アーティスト篇」は5枚組で
それぞれに
楽曲解説と歌詞はもちろん
写真やデータを満載した
120ページ程度の
ブックレットが付いています。
「声楽・女声篇」の方はさらに
誰が誰の弟子筋か一目瞭然の
「女声声楽家系統図」という1枚が
封入されています。
声楽家の女声篇があるなら
男声篇もあっても良さそうですが
「来日アーティスト篇」ライナーの
企画者「あとがき」によれば
「さまざまな事情により」出されず
代わりに「来日アーティスト篇」を出して
全2巻で完結となったようです。
このボックスを買ったのは
藍川由美の仕事を通じて
昔の声楽の奏法に興味を持ち
こういうのも持っておくべきだろうと
思ったからでした。
それでまず「声楽・女声篇」を買い
シリーズ第2弾として
「来日アーティスト篇」が出た際
これはあとで絶対欲しくなる
と思って購入したのでした。
結局、両方とも
1回しか聴き通しておらず f^_^;
よくこんなもの買ったよなあと
今さらながら我ながら
呆れてしまいます。
それが思いがけず
前回の記事をまとめる際に
役に立ったわけで
やっぱり買っておいて
正解だったのでした。(^_^)v
先日の、日本近代文学館主催の
SP盤レコード・コンサートでかかった
三浦環の「ある晴れた日に」
サルコリの「女心の唄」
長坂好子の「エレジー」は
こちらのCDにも収録されています。
また「モスクワの思い出」という
現在ではあまり知られていない
(と思われる)ヴァイオリン曲も
当日の解説でも名前のあがっていた
ミッシャ・エルマンの演奏で
収録されており
おかげさまで作曲者が誰か
すぐに分かった次第です。
名前があがっていたといえば
やっぱり先日、言及された
ピアニストの
アンリ・ジル=マルシェックスの演奏も
1曲だけ、収められています。
あと、グノーの
「ファウスト・ファンタジー」が
アコーディオンによる演奏で
収録されています。
(本盤でのタイトルは「ファウスト幻想曲」)
演奏されているのは
だいたい、古典派から
ロマン派あたりが主ですが
バロック音楽も何曲か
収録されています。
バッハやヘンデルあたりは
定番でしょうが
コレルリやトレルリ、
タルティーニといった名前も
確認できますね。
ヴァレンティーニ、
テッサリーニといったあたりは
よく知らない名前ですけど
今回、ライナーを見ていて
近年の録音を何枚か持っている
ヴェラチーニの名前があったので
ちょっとびっくりさせられたり。
ヴェラチーニって知らないなあ
とか思いながら
近年の録音を聴いていましたが
すでにここで目にしていたという。( ̄▽ ̄)
こうして名前を並べて気づくのは
SP盤の時代であっても
イタリアのヴァイオリン曲なら
バロック音楽も聴けたということ。
当然、いずれも
ロマン派的な奏法によるもので
古楽に慣れた耳で聴くと
違和感を覚えますが
バロック音楽の受容史的には
貴重な資料といえるでしょう。
ちなみに
「来日アーティスト篇」には
エタ・ハーリヒ=シュナイダーという奏者の
ハープシコード(チェンバロ)の録音も
収められています。
これがあるだけで
買った当時
「これは貴重かも」と
言い聞かせたりしてしました(苦笑)
ハーリヒ=シュナイダーは
ライナーの解説によれば
ワンダ・ランドフスカの弟子なので
ここで弾いている楽器は
モダン・チェンバロだと思います。
それにしても
ヴァイオリニストだけで
23人もの録音が収録されているのに
レコード・コンサートでかかった
ミシェル・ピアストロがないのは
実に残念。
ライナーに載っている
「来日演奏家年表」に
1行あるだけなので
それも仕方のないところ
なんでしょうかね。