アグネス・チャンのブログで
歌手で作曲家の平尾昌晃が
おとといの7月21日に
亡くなったことを知りました。
小川寛興の
ごくごく個人的な思い入れに基づく
追悼記事をアップした矢先だっただけに
また、少し前にその著書を
読み終えたところだっただけに
ちょっと驚かされました。
その、読み終えた本というのが
今回、追悼もかねて
取り上げることにした
『昭和歌謡 1945〜1989』です。
(廣済堂新書、2013.11.1)
副題「歌謡曲黄金期のラブソングと日本人」
アジア太平洋戦争後の
昭和20年代から昭和60年代までを
昭和40年代のみ2章分使用して
全5章に分けて76曲を取り上げ
体験談なども絡めながら
紹介していく本です。
ピックアップされている楽曲も
何曲か含まれていることでもあり
神保町の新刊書店で見つけた時
一回はスルーしたのですが
やっぱり欲しくなって
その後、購入したのでした。
オビ裏には
連動してリリースされた
全27曲を収録の
2枚組のCDの広告が載っていますが
こちらはまだ入手しておりません。
平尾昌晃自身が
ロカビリー・ブームの頃
人気アーティストの
ひとりだったこともあり
その体験をふまえた
楽屋裏の話が出てくるのも
読んでいて面白いところだし
勉強になります。
ところどころ
「この歌をうまく唄うには」
というような文章が
入っているんですけど
観客と一緒になって歌う
コンサートを続けている
自称「うた先案内人」であることとも
関係しているんでしょうね。
アグネス・チャンの曲は
『ひなげしの花』が
取り上げられていますけど
アグネスと初めて出会った経緯が
平尾の視点から述べられていて
短い記事ながら面白かったです。
ファンにとっては
よく知られた話だと思いますけど
自分はここまで詳しい話を知らなかったので
当時、香港のトップ・アイドルだった
アグネスのラジオでの活躍の一端を
垣間見ることができて
興味がつきなかったり。
このアグネスの項目を読んで
アグネスの今回のブログを読むと
改めてしんみりしてきます。
アイドル史的な視点からは
山口百恵、松田聖子、
中森明菜に対する評価が
なるほど、な感じでした。
山口百恵の曲は続けて3曲
取り上げられているのですが
他に3曲取り上げているのは
美空ひばりだけですから
この扱いからも
評価の高さがうかがえます。
南沙織、太田裕美については
昭和歌謡史上の一般的な位置づけを
なぞっているような感じですけど
高田みづえについては
芸能界でのエピソードが
山口百恵がかけた言葉とともに紹介され
その人柄を伝えているあたり
印象的です。
平尾昌晃は
アニメ・ソングの傑作も残していて
テレビ版『銀河鉄道999』(1978〜81)
『サイボーグ009』第2期(1979〜80)
などの主題歌を
自分もカラオケでよく歌いました。
あと、特撮ファン的な視点でいえば
大場久美子版『コメットさん』
(1978〜79)の主題歌を
忘れるわけにはいかないかも。
それにしても
「キラキラ星をあげる」まで
平尾の作品だとは
今回、調べてみて初めて知り
びっくりしております。
Wikipedia の平尾の項目で
提供曲のリストを見てみると
1970年代後半に
アニメの仕事が集中しており
壮大な宇宙を背景とする作品など
SFテイストあふれるものが
多かったりします。
その一方で
『熱中時代・刑事編』(1979)の主題歌
「カリフォルニア・コネクション」
のような曲も提供していますけど
テレビ番組への提供曲では
何といっても
『必殺仕掛人』(1972〜73)に始まる
必殺シリーズへの楽曲が
代表作といえるでしょうか。
こうしたテレビの仕事、
特にアニメの仕事は
「昭和歌謡」という括りだと
こぼれ落ちてしまうので
そこらへんもフォローする
平尾の仕事を論ずる本が出ることを
期待したいと思います。
自分の世代だと
やっぱり印象に残っているのは
歌い手としても参加した
畑中葉子とのデュエット
「カナダからの手紙」ですね。
『昭和歌謡 1945〜1989』にも
同曲は取り上げられており
歌ができるまでの背景について
簡単に紹介されています。
興味がおありの方は
手に取ってみてはいかがでしょう。
最後になりましたが
故人のご冥福を祈ります。