『ルター・ダンス』(輸入盤)

(独DHM: 88985305282、2016)

 

DHMはドイツ・ハルモニア・ムンディの略。

販売はソニー・ミュージックです。

 

ドイツで制作された輸入盤なので

レーベル名の前に「独」と付けました。

 

これはクラシック系の書籍で学んだ表記法です。

 

 

ハンス・レオ・ハスラー

「わが心みだれさわぎ」の

新録がないかなあと思って

検索をかけたら

引っ掛かってきました。

 

原題 Luther Tanzt の

Luther は

宗教改革の立役者

マルティン・ルターのことです。

 

Tanzt は

「舞曲」とも訳されますが

タワレコの商品紹介だと

「ダンス」と訳されてました。

 

同じといえば同じですけど。

 

 

ユニット名の

ザ・プレイフォーズというのは

17世紀後半のイギリスの楽譜出版者

ジョン・プレイフォードから

採られているそうです。

 

プレイフォードは、1651年に

『イングリッシュ・ダンス・マスター』

という本を出しており

こちらは1728年まで版を重ねる

ベストセラーだったのだとか。

 

『イングリッシュ・ダンス・マスター』は

カントリー・ダンスの楽譜と

踊り方を収録した本で

楽譜はメロディーのみ記載し

和音や低音部は演奏者に委ねる

というスタイルだったそうです。

 

ザ・プレイフォーズは

その出版譜の精神にのっとり

ルターと同時代の音楽を

世俗的かつ民謡風にアレンジして演奏する

という主旨で活動しているようです。

 

 

ルターが作った曲(コラール)も入ってます。

 

アレンジの影響で

宗教曲に聴こえませんけど(苦笑)

 

それ以外では

作曲者不詳の

トラッド・ミュージックは措くとしても

ハスラーと

ハインリヒ・イザークしか

知っている作曲家が入ってません。

 

ハスラーは「わが心みだれさわぎ」が、

イザークは

バロック・ファンに知られている

「インスブルックよ、さようなら」と

あともう1曲、収録されています。

 

 

ちなみに

「インスブルックよ、さようなら」も

「わが心みだれさわぎ」と同様

後に旋律が借用されて

コラール(讃美歌)になっています。

 

となると、他の曲も

コラールの原曲だったり

するのかもしれませんね。

 

 

ハスラーの「わが心みだれさわぎ」は

バッハのコラール風に、ではなく

フォークソング風な

素朴な演奏になっています。

 

それは良かったですね。

 

ただ

前回紹介したアルヒーフ盤が

アルトの独唱に

ヴィオラ・ダ・ガンバの伴奏

という演奏だったんですけど

ザ・プレイフォーズ盤も

リコーダーの伴奏による独唱でした。

 

合唱版がないかなあと思って

探してみただけに

それはちょっと残念だったかも。

 

 

ザ・プレイフォーズは

遊び心のあるユニットのようでして

それはライナー裏表紙(下の写真・左)で

カラヴァッジョの絵画のような

感じを出しているのでも

察せられましょう。

 

『ルター・ダンス』ライナー裏表紙&レーベル面

 

なぜかヴォーカリスト(たぶん)だけ

ルネサンス時代風(?)の

コスプレをしているという。(⌒▽⌒)

 

 

全体的に

トラッド・ミュージックのようなノリで

日本でいえば

つのだたかし率いる

タブラトゥーラのような感じかなあ。

 

『風の谷のナウシカ』の

風の谷の宴会シーンで流れる

音楽みたいなものというか。

(あれよりも音は少ないです)

 

そういうのが好きな人にはおススメ。

 

もっとも、輸入盤なので

歌詞の意味が分からないとダメ

という人には

おススメできませんが。

 

 

まだリリースされて

1年しか経ってませんから

将来的に出る可能性はあります。

 

この手のものは

なかなか日本盤が出ませんけど

ザ・プレイフォーズの場合

どうでしょうね。

 

 

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