(Alquimista Records: ALQ-0013、2007)
販売元はキングインターナショナルです。
先週の水曜日
採点済み答案を立川まで届けに行って
その帰りに同地のディスクユニオンに寄り
見つけました。
オーボエ奏者の三宮正満も
ヴィンサント・アンサンブルも
知らなかったのですが
古楽器によるバロック音楽集だったのと
値段がお手頃だったので
思わず購入。
帰ってきてから
参加している演奏家の名前を
よくよく見てみると
チェンバロが鈴木優人で
びっくりしたという。(^^ゞ
タスキ(オビ)裏には
「日本の古楽界を代表するオーボエ奏者・
三宮正満(さんのみや・まさみつ)」
と書いてありますけど
ぜんぜん知らないし。
ライナーの経歴紹介を読んでみると
「ラ・フォンテーヌ」のメンバーで
バッハ・コレギウム・ジャパンの
首席オーボエ奏者だと書いてあります。
ラ・フォンテーヌのCDは
確か持っていたはずなのですが
記憶にない……
念のため
自分のブログ内を検索してみたら
先日の『題名のない音楽会』に
出演されてました。
失礼いたしましたあ。f^_^;
にしても
不見転で買ったCDが
たまたま観たばかりの番組に
出てた人のやつだったなんて
逆に、すごくありません?(苦笑)
演奏されているのは
パッヘルベルのカノンとジーグ
マルチェッロのオーボエ協奏曲 ニ短調
ゼレンカのヒポコンドリア
ヘンデルのオペラ
『忠実な羊飼い』に基づく管弦楽組曲
そして、G線上のアリアとして知られる
バッハの管弦楽組曲 第3番のアリアです。
ゼレンカとヘンデルを除けば
超有名曲ばかり。
ヘンデルも有名なのかも知れないけど
自分は知らない。
だいいち『忠実な羊飼い』って
伝ヴィヴァルディの
フルート協奏曲のタイトルの方が
有名だし。
まあ、それはともかく
自分的には
マルチェッロのオーボエ協奏曲を
古楽器で演奏しているというのが
キキメなのでした。
マルチェッロのオーボエ協奏曲といえば
バロック・ファンにとっては
バッハがチェンバロ用に編曲していることで
知られていた曲ですが
映画『ヴェニスの愛』(1970)に
第2楽章のアダージョが使われて以来
一般的に知られるようになりました。
バッハの編曲した版については
当ブログでも
曽根麻矢子のチェンバロ演奏版と
グレン・グールドによるピアノ演奏版を
紹介したことがあります。
マルチェッロの原曲版は
モダン・オーボエ奏者の
ハインツ・ホリガーによる演奏が定盤で
そちらも持ってはいますけど
やっぱり古楽器演奏で聴きたいもの。
でも、古楽器演奏盤というのは
意外とないのですね。
本盤のライナーに
三宮にインタビューした際の言葉として
パッヘルベルのカノンも
マルチェッロのオーボエ協奏曲も
生のステージで聴いたことがない
とありますが
ポピュラーな人気があればあるほど
生のコンサートでは披露されないということは
確かにありそうなことかと思います。
録音にしても
そういうポピュラーなピースを集めた
コンピレーション・アルバムの
古楽器演奏盤というのは
意外と出ていないものでして。
もちろん、古楽器とモダン楽器とで
そう極端に音が違うわけではありませんが
たとい違っていても聴き分けられない
自分のような
ヌルい古楽ファンにとっては
嬉しい1枚といえるCDなのでした。
本盤のオーボエ協奏曲は
バッハのアレンジを活かした
ヴィンサント版ということになるらしく
それだけに楽章の
緩急の差が際立っている気がされ
バッハのチェンバロ版から親しんだ
自分のような人間にとって
肌にあう快演です。
手許には
古楽器演奏盤として
イル・ジャルティーノ・アルモニコの
『パッヘルベルのカノン〜バロックHITS』
というCDがありますけど
(ワーナーミュージックジャパン
WPCS-11124、2001.11.28)
第1楽章のアンダンテが
バッハ編曲版の演奏でこの曲に親しんだ
自分の感覚だと
それがグールドの演奏だっただけに
ちょっと遅い感じなのですね。
アンダンテだから
それでいいのかも知れないけど
なんだかピンとこないでいたところ
ヴィンサント・アンサンブルの演奏を聴いて
まさに、キタコレ! という
感じだったわけです。
ただし
パッヘルベルの演奏は
イル・ジャルティーノ・アルモニコ盤の方が
好みかもしれません。
テンポは両方とも速くて
好みなのですけど
ヴィンサント・アンサンブル盤は
冒頭のアタックが、というのか
曲の入りがちょっと弱い気がするので。
ヘンデルのオペラに基づく管弦楽組曲は
第5番目に演奏されるアリアの
弦による定旋律が印象的。
マイケル・ナイマンが作曲した
映画『英国式庭園殺人事件』(1982)の
サントラ盤を思い出しましたが
ナイマンの方は
ヘンリー・パーセルに基づいているので
これは当方の勘違いというか
錯覚にすぎません。
実は以前にも
ヘンデルの二重合奏曲を聴いて
『英国式庭園殺人事件』を
連想したことがあるのですが
ナイマンはヘンデル研究家でもありますし
似ているのも当り前
……なのかな?
いずれにせよ
そういう発見(?)もあって
実にお買い得な1枚でした。
ちなみに「ヴィンサント」とは
「聖なるワイン」という意味の
イタリアの食後酒だとか。
そちらを呑みながら聴く
というのもありかもしれませんね。(^_^)