久美悦子『柳ケ瀬小唄』

(テイチクレコード SN-371、1966.6)

 

こちらはヤフオクで落札しました。

 


またまた小唄ものですが
この「柳ケ瀬小唄」という曲は
どうやら1966年当時
競作の形でリリースされたようです。

 

というのも
たまたまタイトルで検索してみたら
岡田久枝という
よく分からない女性歌手の盤
(ローヤルレコード RQ-637、1966.5)と
奈見英生とザ・ココナッツという
よく分からないグループの盤
(ミノルフォンレコード KA-56、1966.?)が
引っかかってきたので。

 


どの盤もすべて
寺沢一馬作詩・作曲ですが
久美悦子盤は
高月ことば補作
塩瀬重雄編曲。

 

奈見英生とザ・ココナッツ盤は
周東敬二補作詩。

 

岡田久枝盤には
補作詩者の表示がなく
柳ヶ瀬太郎編曲となっています。

 


久美盤の
ひと月前にリリースされた
岡田盤の歌詞は
こちら↓で確認できます。

 

http://www.omiyagerecords.com/?pid=76785408)

 

これ幸いと
歌詞を比べてみたところ
漢字やかなの使い方が

微妙に異なるだけで
一ケ所を除いて
まったく同じものでした。

 

その一ケ所というのは
第4番目の最終フレーズで
岡田盤が
 

♪うちのおやじの禿げ頭
 

となっているのが
久美盤だと
 

♪うちの親爺の エー 髭面よ
 

となっています。

 

このフレーズだけで
「補作」と称するのだとしたら
どうかと思いますが
そんなものなのでしょうね。

 

こうなってくると
奈見英生とザ・ココナッツ盤の
周東敬二の補作詩が
気になってくるところですけど
残念ながら
歌詞は見つけられませんでした。

 


久美盤は
ジャケットが4ページ構成で

各曲の歌詞は見開きで載っています。

 

久美悦子『柳ケ瀬小唄』ライナー


4ページ目には
河藤流家元・河藤たつろによる
振付が載っています。

 

『柳ケ瀬小唄』振付

 

以前、紹介した
笹みどりの『下町育ち』(1965)や
ジュディ・オングの
『チャームで踊ろう』(1967)にも
振付が載っていましたけど
この時期、こういうのが
流行っていたんでしょうかね。

 

ちなみにコトバンクの記述によれば
後に紫綬褒章を受けることになる
日本舞踊家で
昭和30年ごろ
河藤流を起こしたとありますが
ちょうど久美の『柳ケ瀬小唄』の頃ですから
本盤の振付け自体は
タイアップのようなものだったのかも。

 


B面の「都恋しや」は
小島胡秋・作詩
伏見竜治・作曲
山田栄一・編曲。

 

都に行った男を想う
女の心情を歌った唄で
これまた小唄歌謡調の曲です。

 

♪私しゃ悲しい エー 捨小舟(すておぶね)

 

という歌詞が
いかにも古風ですね。

 


出すもの出すもの
競作の小唄ものか
オリジナルであっても
小唄テイストな歌ばかりなのは
そもそものデビュー作が
『裏町小唄』(1964)だから
なのか知らん。

 

これでは
時流に乗れず
忘れられていったのも
しょうがない、と
ついつい思ってしまうのでした。

 

でもまあ、乗りかかった舟で
ディスコグラフィの完成に向けて
今後も励むつもりですけれど。

 

 

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