その昔
レーザーディスクという
映像記録ソフトがありました。

 

DVDが出る前は
半永久的な記録ソフトとして
多くの映画ファンや

アニメ・ファンを喜ばせ

財布の紐を

ゆるめさせていたものでした。

 

自分もその例に洩れず
『仮面ライダー』が全話

LD化された時に
思いきって再生機の方も購入し
『仮面ライダー』以外の映像ソフトも
何枚か買ったものでした。

 

(こちらのブログでも以前
何枚か、取り上げたことがあります)

 

そうした映像ソフトの中には
その後、DVD化されたものもありますが
レーザーディスクで出たまま
いまだにDVD化されないソフトも多く
今回、紹介するディスクなども
そのひとつです。

 

LD『ファンダンゴ/スコット・ロス』

(日本フォノグラム PHLK-5002、1991.4.25)

 

日本フォノグラムは日本での発売元で
オリジナルのライセンスは
アマデオ amadeo です。

 

商品のフル・タイトルは
『G・ブゾネ・プレゼンツ
《鍵盤のペルソナージュ》3
ファンダンゴ/スコット・ロス』。


オビ(タスキ)には更に
「プレイズ・ソレル&スカルラッティ」
とありますけど
これは本来のタイトルにはないもので
タスキにしか書いてありません。

 


スコット・ロスは
ドメニコ・スカルラッティの
555のソナタ全曲録音で知られる
アメリカに生まれて
フランスで活躍したチェンバリストです。

 

日本のチェンバリスト曽根麻矢子の
お師匠さんでもあります。

 

そのロスが亡くなる1年前に

撮影されたのが
今回のディスクに収録された映像です。

 


このレーザーディスクは
『200CD クラシック音楽の探求
古楽への招待』

 

『200CD 古楽への招待』

(立風書房、1996.3.10)

 

で紹介されているのを読んで以来
観てみたくて

探し求めていたものでした。

 

一度、今はなき

秋葉原の石丸電機で
見つけたことがあるのですが
値段が値段だけに
その場ですぐ買うわけにはいかず
見送っていたところ
いつの間にか売れていたという
よくあるパターンで入手し損ねております。

 

店頭で見たのはそのときくらいで
それ以来、見ることもないまま
いつの間にかレーザーディスクは
DVDに淘汰されて

製造されなくなってしまい
中古で出会わない限り
2度と観ることができない商品に
なってしまったのでした。

 

 

ほんと

生きている間に観られるだろうか

買えるだろうかと
思っていたのですが
先日たまたま検索してみたところ
ヤフオクに出ているのが引っかかり
即、入札。

 

そしたら無事、落札することができ
届いた商品を見たところ
なんとこれが
未開封品だったのでびっくり。

 

出品者の商品紹介をよく見ると
たしかに「新品LD」とありますけど
まさか未開封品とは思わなかったです。

 

 

1996年の本で知って以来ですから
実に20年目にして
ようやく入手できたことになります。

 

これだけで感動しますよね。

 


演奏はもちろん
「いい!」の一言に尽きます。


ロスの超絶技巧なフィンガリングに
圧倒されました。

 

ソレルの「ファンダンゴ」を始めとする

手の交差が見られる演奏は

「すごい!」としか

いいようがありません。

 

グールドもゴルトベルク変奏曲の演奏で

手の交差を披露していますけど

あれよりも繊細かつダイナミックかも

とか思っちゃいました。

 

 

『古楽への招待』の記事を読み直すと
ロスの愛器であった
ダヴィッド・レイ製作の
2段鍵盤の白いチェンバロが
フィーチャーされてますけど
たしかに白いチェンバロは

珍しいかもしれませんね。

 

映像を観て
ちょっとびっくりしました。

 


なお、本ディスクは
独立系の映像会社のプロデューサー
ジョルジュ・ブゾネが制作した
クラシックの鍵盤奏者を
フィーチャーしたシリーズの1枚で
そのシリーズのタイトルが
「鍵盤のペルソナージュ」
Personnage de la Touche です。

 

タスキ(オビ)の裏を見ると
ロスの他に
マリア・ジョアン・ピリス(pf)等が
出ているようですけど
結局、何枚リリースされたのか
よく分かりません。

 

 

本ディスクは当時の価格で税込5000円。

 

LD『ファンダンゴ/スコット・ロス』タスキ(部分)
 

ほいほい買える値段では
なかったよなあ、と
しみじみ思ったことでした。

 

ちなみにピリス盤は
税込7000円もしてまして
レーザーディスクというメディアが
いかに高価なものだったかを
偲ばせます。

 


それにしても、ほんと、これ
なんでDVDになってないんでしょう。

 

(自分が知らないだけで
フランスではリリースされているのかも
しれませんけど)

 

レーザーディスクの再生機が
今まで壊れなかったのはもちろん
捨てずに持ち続けていて
ほんとに幸いだったと
つくづく思った次第です。

 

それもこれもすべて

この日のためだったんですね。

 

 

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