『不思議の国のアリス』
および『鏡の国のアリス』の
原書の挿絵を描いたのは
御存知ジョン・テニエル卿です。

テニエルの描いた挿絵を再録して
「大人のぬり絵」として刊行したのが
『不思議の国のアリス ~ぬり絵~』と
『鏡の国のアリス ~ぬり絵~』です。

サニー出版版アリス大人のぬり絵
(サニー出版、2016.4.10)

改訂版とありますが
Amazon で調べたところ
元版は2006年4月に出たようです。

元版と改訂版とで
内容がどう違うのかは
元版を持っておりませんので
分かりません。

『不思議の国のアリス』に関しては
カバーに使われた絵が異なるようですが。

ひとつ不思議だったのは
『鏡の国』原作の
最初の方に載っている
アリスが鏡を抜けるシーンのイラストが
サニー出版の本だと
最後の最後に掲載されていること。

これだと
原作を知らない人は
アリスは鏡の国から
鏡を抜けて戻ってきたと
誤解しちゃう気がするのですが……


ところで
Amazon で元版の刊行年を調べた際
テニエルのオリジナルを使った類書が
他社からも出ていることを知り
頭を抱えちゃいました。

先に取り上げた
『物語のある美しい塗り絵
 不思議の国のアリス』
の記事中で
「アリス関連の塗り絵 BOOK について
 別の記事を書くために調べていた」
と書いたのは
サニー出版本の元版を
調べた際のことなのでした。


その際に目に入った
『不思議の国のぬり絵ブック』は
上掲の河出書房新社本を買った時に
一緒に買っていたみたいで
書棚を調べていたら
同書と同じところに置いてあるのを
見つけました。f^_^;

パイ インターナショナル版アリス大人のぬり絵
(パイ インターナショナル、2015.12.11)

イラストに付けられた文章は
ルイス・キャロルの原作から
取られていますが
翻訳されておらず原文ママです。

その代わりに
といっては何ですが
巻頭に
「ルイス・キャロルとジョン・テニエル」
という無署名の文章が載っており
巻末に
2つの『アリス』の
章ごとの要約が掲載されていて
いくつかのイラストについては
簡単な解説が付されています。

『不思議の国』と『鏡の国』の両方を
1冊でフォローしているので
お買い得といえばお買い得かも。


テニエルのオリジナルを使った
大人のぬり絵系の本は
あともう一点
『不思議の国のアリス原書ぬり絵
 ——オリジナルイラストで名場面をたどる』
というのが出ています。

エクスナレッジ版アリス大人のぬり絵
(エクスナレッジ、2016.3.1)

こちらは
原作のストーリー順に
イラストが配されていない点と
原典のイラストを
コラージュしたページのある点が
特徴といえば特徴。

キャロルの原作から文章が引かれて
キャプションのようになっているので
ルイス・キャロル著
樋田まほ訳
という扱いになっています。

カバーの表紙側折り返しに
キャロルとテニエルの紹介、
カバー裏折り返しに奥付があり
(本体に奥付はありません)
最終ページに
「『不思議の国のアリス』
 イラスト誕生の舞台裏」
という無署名のエッセイが載っています。

この無署名の記事には
原典がカラーライズドされた
経緯が書かれていて
ちょっとトリヴィアルな面白さが
ありました。


エクスナレッジ版のオビに
The Original Alice 150 Years
とあることから分かる通り
昨年は
『不思議の国のアリス』出版150年という
アニバーサリー・イヤーでした。

だからこんなに
原典を使ったぬり絵本が
出たのかもしれません。

それにしても
まあ、なんというか
これが最後の一冊とは思えない……
と、映画『ゴジラ』(1954)の最後で
山根博士が呟いてる時のような気分に
なってきますなあ( ´(ェ)`)


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