『狂気な作家のつくり方』
(本の雑誌社、2009.1.20)

4月20日に亡くなった
吉野朔実への
追悼の意味をこめて読了。


ちょっと古い本ですが
買ったのはつい最近です。

最後に完結させた長編
『period』(全5巻)を買いにいったら
揃ってなくて
代わりに購入したのでした。


平山夢明は
御存知の方も
いらっしゃるかもしれませんが
ホラー作家です。

少なくとも
そういうふうに紹介するのが
いちばん分かりやすいでしょう。

オビには「異能の作家」とか
「血だるま作家」とか
書いてあるけれど
「血だるま作家」って……。


この本を読んでいると
平山夢明の強烈なキャラクターが
よく伝わってくるんですけど
それに対する吉野朔実も
強烈というか
少なくとも
平山夢明と対等に話ができるくらい、
どんな変な話でも
普通の話をしてますという感じで
受け答えできるくらい
クセのあった人なんだなあ
ということが
よく分かります。

もっとも
吉野朔実のまんがを読んでいる人なら
よくよく承知のことだと
思いますけどね。


第1章「最初の記憶、怖い記憶」の
最後で、いきなり
自分が死んだらこうしてほしい
こうしないでほしい
みたいな話が出てきたので
しんみりしてしまいましたが
読み進めるうちに
何度も噴き出すところがあり
出先で読んでいるとき
思わず声に出して笑いそうになって
困りました。

第5章「残酷な狂気のエッセンス」では
お互いが知っている怪談を
披露しているんですけど
平山夢明の紹介する話に
背筋に寒けが走るものが
ひとつありました。

それだけでなく
平山夢明の体験談で
怖いんだけど
なぜか笑ってしまうものがあり
その語り口はすごいなあと
感心しちゃいました。


その他
漫画論あり、映画論あり
現代社会論ありで
笑ったりハッとさせられたりしながら
あっという間に読めました。

人によっては
引いちゃうかもしれませんけど
自分的には面白かった一冊です。


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