『2CELLOS』
(Sony Music Japan International
 SICP-3253~4、2011.9.21)

いつもペタを付けてくれる
アメーバ・ブロガーの方が
YouTube にアップされている
2CELLOS が演奏する
「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」の
ミュージック・ビデオを
ご自身のブログに
貼り付けたことがありました。

二つのチェロというのが気になって
それを視聴してみたところ
あまりのすごさにびっくりして
Amazon で購入した次第です。


最初はタワーレコードの
ネット・ショップで探したんですが
DVD付きの初回生産限定盤が
売り切れていたので
Amazon で検索して
中古のを見つけた次第です。

どうせなら限定版が欲しいよね
というわけで。(^^ゞ

そしたら
「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」の
ミュージック・ビデオも
DVDに収録されていて
これは嬉しかった。

YouTube でいつでも観られるとはいえ
やっぱり手許にあるのと
そうでないのとでは
違うものですよ。


日本のCMミュージックにも
2CELLOS 演奏のものがあり
広く知られた存在のようですが
自分は上記のような経緯で
ついこの間、初めて知りました。

クロアチア出身の
クラシックのチェロ奏者が
何か新しいことをやりたいと思って
マイケル・ジャクソンの
「スムーズ・クリミナル」をカバーして
YouTube にアップしたところ
たちまち万を超えるアクセスがあり
さまざまなところから
オファーがあったのだとか。

まさにアメリカン・ドリームだと
DVDに収められているインタビューで
本人たちが言ってました。


デビューCDにあたる本盤には
上記の「スムーズ・クリミナル」や
「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」
(原曲のアーティストは
 ガンズ・アンド・ローゼズ)も含め
チェロ2台で演奏する
ロックのカバー曲が
13曲収められています。
(内1曲は日本盤のみのボーナス・トラック)

1曲目の「約束の地」
(原曲アーティストはU2)からして
そうですが
全体的に疾走感あふれる
かっ飛ばした曲が多いです。

それでいて
セクシー感全開の
チェロらしい音を聴かせるあたり
緩急の自在さが魅力。


クラシックの演奏家というのは
意外とロックやポップスが好きで
仲間内で演奏したりすることが多いとは
若手の演奏家の話として
よく耳にしますが
チェロ2台でというのは
自分の知るかぎり
今までなかったように思います。

だいたい、チェロで
ロック・ミュージックをカバーできるとは
思いもよらないことでした。



上に埋め込んだ
「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」の
MVを観ていると
演奏するうちに
ボウ(弓)がほつれていっているのが分かり
その演奏の激しさをうかがわせます。

検索して調べてみたら
ヴァイオリン族の弓に使われている毛は
150~200本ほどだそうで
なるほど演奏の激しさからすれば
そのうち何本か切れるのは
分からないでもありません。

ですけど
初めて観た時はびっくりしました。

演奏終了後のほつれ具合は特に凄いです。

あと、観ていただければ分かる通り
途中でお互いの楽器を交換するカットが
実に美しくてクール。

演奏者もイケメンだし
これはウケるのも分かるわ
という感じです。


自分はロック音痴で
ロック音楽に関しては
ほとんど知識がなく
本盤に収録されている曲も
ほとんど原曲を知りません。

だから、というべきなのか
本盤を聴いていると
マイケル・ナイマンや
ハウシュカの楽曲なんかを
連想させられました。

なぜかといえば
旋律パートに対して
それを支える通奏低音パート
というか、グラウンド・バス
いわゆるオスティナート(執拗低音)が
非常にエッジが利いているというか
強調されているからでして。

ロックだからなのか
クラシックの素養があるからなのか
そこらへんはよく分かりませんが
オスティナートが
くっきりしていているあたり
バロック音楽にも通じている気がします。

最も、本来のバロックは
ここまでオスティナートが
強調されて演奏されることは
少ないように思います。

オスティナートという点からは
むしろマイケル・ナイマン作曲の
映画『英国式庭園殺人事件』(1982)の
BGMなんかで典型的に聴かれる
疑似バロック的な楽曲に
近い感じなのですけどね。

そこらへんが
自分にとってのツボなのでした。

「ユーズ・サムバディ」
(原曲アーティストはキングス・オブ・レオン)
「美しき生命」(原曲はコールドプレイ)
「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」
(原曲はニルヴァーナ)
といったあたりなんかが
オスティナート奏法を
強く意識させられる曲です。


あと、
「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」の
演奏で見られる
チェロの胴を叩く奏法は
Wikipedia によれば
バロック時代に生まれたものだとか。

それは知らなかった。

バロック好きの血が騒ぐのは
こういったところにも由来してたわけで。

……というのは
完全なる後づけですが(苦笑)


ちなみに本盤のDVDには
ヴィヴァルディの
2つのチェロのための協奏曲
ト短調 RV.531から
第2楽章のラルゴを
チェロ2台のみで演奏する
パフォーマンスが収録されていて
これがまた、旋律が実に美しい。

さすが、音の職人ヴィヴァルディ。

バロック時代の富裕な家庭などでは
こんな感じで演奏されていたんだろうなあ
と思わせてくれるのもいいですね。

弦楽合奏と通奏低音が加わった
オリジナルの方も
聴いてみたくなりました。


こう書くと
本盤のメインである
アレンジされたロック楽曲の
オリジナルの方は
聴いてみたくないのか
といわれそうですが
もちろん聴いて比較してみたい。

「ミザルー
 ~パルプ・フィクションのテーマ~」
(原曲アーティストはディック・デイル)は
オリエンタルな雰囲気が感じられますし
「ザ・レジスタンス」(原曲はミューズ)は
ウェスタン・ミュージックのような印象。

この2曲なんて
オリジナルがどういう演奏なのか
すっごく気になります。

ですけど、まあ
懐の都合もあるし。

とりあえずはCDではなく
YouTube でいいかな ( ̄▽ ̄)


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