雑誌『新青年』に訳された
チャータリスの作品は
先に紹介した「聖者対警視庁」の他に
もう1編ありました。
それが今回紹介する
「奇妙な遺産」です。
本作品は『新青年』
1939(昭和14)年2月5日発行の
新春増刊号に訳載されました。

初出時の訳者名は西山時雄で
後に水谷準名義に改められましたので
西山時雄は水谷準の
別名であることが分かります。
水谷名義での翻訳は
『最後に笑ふもの』(1946)と
『ある殺人風景』(1947)という
2冊のアンソロジーに採録されたあと
『探偵倶楽部』、『別冊宝石』といった雑誌に
再録されています。
書棚を探してみたら
こちらの本が出てきました。

(水谷準・黒沼健訳、永和書館、1947.3.10)
表紙には共訳となってますが
水谷準の訳した作品が2編
黒沼健の訳した作品が3編入っているだけで
一緒に訳したわけではありません。
中身が同じで表紙違いの本もあるそうですが
それはともかく。
とあるクリスマス・イブの日
セイント(水谷訳では「セント」)は
クリスマス・カードのため
住所録を繰っていて
ジャックリン・レーンの名前に目をとめる。
懐かしくなって
1年ぶりに電話すると
ジャックリンは
トラブルに見舞われていた。
長い間世話をしていた祖母が亡くなって
その遺言書が開示されてみると
遺産のほとんどは
親戚中の鼻つまみ者である
不良の甥に遺贈され
ジャックリンに遺贈されたのは
百ポンドと
祖母の古い恋の思い出のラブレターのみ。
それを聞いたセイントは
ジャックリンのために一計を案じる
というお話です。
勘のいい人なら
祖母の残した遺産が何だったのか
見当がつくでしょう。
自分は気づきませんでしたが。f^_^;
それはともかく、
しかしこのネタだと
祖母は、あるものの価値に
気づいていたことになりますが
祖母がその価値に気づく知識を
どこで身につけたのか。
その伏線が全く張られていません。
むしろ気づいておらず
単なる甥バカだったのかもしれませんが
まあ、それはそれでありだし
それなりに面白い。
冒頭で
クリスマス・イブであることが
示されていることから
本作品は典型的なクリスマス・ストーリー
(ジャンルとしてのクリスマス・ストーリー)
というふうに考えることができます。
だとしたら、最後のどんでん返しは
「奇跡」であるわけで
そう考えると
単なる甥バカだというのが
妥当のような気がしますけどね。
ところがところが
上のような読みを覆す
本作品の別バージョンがあるのでした。
それについてはまた後日。

チャータリスの作品は
先に紹介した「聖者対警視庁」の他に
もう1編ありました。
それが今回紹介する
「奇妙な遺産」です。
本作品は『新青年』
1939(昭和14)年2月5日発行の
新春増刊号に訳載されました。

初出時の訳者名は西山時雄で
後に水谷準名義に改められましたので
西山時雄は水谷準の
別名であることが分かります。
水谷名義での翻訳は
『最後に笑ふもの』(1946)と
『ある殺人風景』(1947)という
2冊のアンソロジーに採録されたあと
『探偵倶楽部』、『別冊宝石』といった雑誌に
再録されています。
書棚を探してみたら
こちらの本が出てきました。

(水谷準・黒沼健訳、永和書館、1947.3.10)
表紙には共訳となってますが
水谷準の訳した作品が2編
黒沼健の訳した作品が3編入っているだけで
一緒に訳したわけではありません。
中身が同じで表紙違いの本もあるそうですが
それはともかく。
とあるクリスマス・イブの日
セイント(水谷訳では「セント」)は
クリスマス・カードのため
住所録を繰っていて
ジャックリン・レーンの名前に目をとめる。
懐かしくなって
1年ぶりに電話すると
ジャックリンは
トラブルに見舞われていた。
長い間世話をしていた祖母が亡くなって
その遺言書が開示されてみると
遺産のほとんどは
親戚中の鼻つまみ者である
不良の甥に遺贈され
ジャックリンに遺贈されたのは
百ポンドと
祖母の古い恋の思い出のラブレターのみ。
それを聞いたセイントは
ジャックリンのために一計を案じる
というお話です。
勘のいい人なら
祖母の残した遺産が何だったのか
見当がつくでしょう。
自分は気づきませんでしたが。f^_^;
それはともかく、
しかしこのネタだと
祖母は、あるものの価値に
気づいていたことになりますが
祖母がその価値に気づく知識を
どこで身につけたのか。
その伏線が全く張られていません。
むしろ気づいておらず
単なる甥バカだったのかもしれませんが
まあ、それはそれでありだし
それなりに面白い。
冒頭で
クリスマス・イブであることが
示されていることから
本作品は典型的なクリスマス・ストーリー
(ジャンルとしてのクリスマス・ストーリー)
というふうに考えることができます。
だとしたら、最後のどんでん返しは
「奇跡」であるわけで
そう考えると
単なる甥バカだというのが
妥当のような気がしますけどね。
ところがところが
上のような読みを覆す
本作品の別バージョンがあるのでした。
それについてはまた後日。
