『なぞの物体X』(中学生傑作文庫)
(福島正美・文、中学生傑作文庫、1962年1月1日)

ネットで
レスリー・チャータリスの邦訳本について
調べていたら
『中学一年コース』1962(昭和37)年1月号の
第4付録「中学生傑作文庫」として
「なぞの物体X」というのが出ている
という情報が引っ掛かってきました。

おやおやそんなものが訳されているのか
いったい原作は何だろうと思っていたら
〈日本の古本屋〉に
まあまあリーズナブルな値段で
アップされていたので
さっそく注文してみました。

チャータリスはSFっぽい話も書いているし
ジュブナイル向けの邦題が適当なのは
よくあることですから
てっきりチャータリスの作品かと思いきや
確かに表紙と扉には堂々と
チャータリス原作と表示されているのに
中身は、以前紹介した
ジョン・W・キャンベル Jr の
「影が行く(物体Xの恐怖)」でした。( ̄▽ ̄)


この本には「なぞの物体X」の他に
マレイ・ラインスターの
「花の惑星」という作品が
併録されていました。

SFに詳しい人なら
この邦題を見ただけで
ははあ、あれだな、と
気づくのかもしれませんが
自分はミステリ者ですので
すぐには分からず
ネットで検索してみたら
『S-Fマガジン』の
1960(昭和35)年9月号に
高橋泰邦によって訳された
「考える葦」The Plants(1946)だと
分かりました。


『S-Fマガジン』掲載後
ハヤカワ・SF・シリーズの
『S-F マガジン・ベスト No.1』に
収録されたようです。

そちらは持ってませんが
その後、採録された
『空想科学小説・ベスト10』は
確か持ってたはずと思って
書棚をあさったら出てきました。

『空想科学小説・ベスト10』
(荒地出版社、1961.4.10)

もともとはカバーがついてますが
ウチにあるのは
残念ながら裸本です( ´(ェ)`)

こちらの本では作者名が
「モーリイ・ラインスター」
という表記になってます。

訳者は同じ高橋泰邦です。


というわけで
『中学一年コース』
1961年1月号(5巻11号)
第4付録「中学生傑作文庫」の
「なぞの物体X」は
レスリー・チャータリス原作では
ありませんので。

巻末の福島正美による解説には
ちゃんと
ジョン・W・キャンベル・ジュニアと
マレイ・ラインスターの作品だと
書いてあるんですけどねえ。

エラー本マニアの方は
要チェックでございます(苦笑)


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