
(1949/井上勇訳、ハヤカワ・ミステリ、1961.5.31)
師走に入って多事多端というのか
なかなか本が読めないでいる
今日この頃ですが
こちらは、その仕事がらみで
久しぶりに読み終えた一冊です。
フランシス・ディドロはフランスの作家。
この『月あかりの殺人者』で
パリ警視庁賞を受賞しました。
殺人を犯した後
リュリの作曲した民謡
「月のあかりで」を
口笛で吹きながら
現場から逃走する連続殺人が発声し
「月あかりの殺人」として
パリの人々を怖れさせていました。
ある日、第三の被害者の甥が
容疑者として逮捕されます。
弁護士を頼もうと思った
容疑者である甥の婚約者は
間違って
同じビルの別の階にいた
代理人(何でも屋)に依頼してしまい
依頼されたドゥーブルブランは
事件解決に奔走することになる
というお話です。
どういうプロットかをいうと
慣れた人には
話のタネが割れてしまうので
これ以上、詳しくは書きませんが
殺人者のイメージとして使われるのが
リュリの作曲だというのを読んで
おおっと思いました。
これって、フランス・バロックの作曲家
ジャン=バティスト・リュリのこと?!
と思って調べたところ
まさしくリュリでした。
ところがリュリが作曲したというのは
どうやら誤伝のようで
実際は作曲者不詳。
しかもしかも、検索先にアップされていた
この曲の MIDI による音源を聴くと
確かに昔、聴いた覚えがある!
(MIDI 音源はこちら↓でどうぞ。
http://www.geocities.jp/ezokashi/f_auclairdelalune.html )
かすかな記憶を便りに
さらにいろいろと調べてみて
自分が昔、聴いたのは
(もしかしたら授業で歌ったのかも)
深尾須磨子が詞を当てて
中田喜直が作曲した
「女声合唱 7つのフランスの子供の歌」に
入っているものだと判明しました。
この版だとタイトルは「つきよ」といいます。
「♪わたしは ひとり ラララララ」
という部分だけ記憶にあったのが
決め手となりました。
(ラララララの部分の歌詞は
忘れてたわけですけど f^_^; )
やあ、懐かしいなあ。
『月あかりの殺人者』自体は
訳文はいささか古いし
取っ付きにくいなあと思ってたんですが
昔聴いた「つきよ」のことだと知って
一気に親しみが湧きました。
ま、そういうもんです。
これも小説を読んで楽しむ
ひとつのかたちというものですね。
なお、ウチにある本は
下の写真のように
ハコに入っています。

当時、こういう包装紙代わりの
ハコが付いたポケミスが
売られていました。
ハコも珍しいけど
フジテレビの番組広告の方が
ちょっと珍しいし
時代を感じさせて楽しいですね。
