毎月買っている雑誌
『ハヤカワミステリマガジン』が
先日の6月号で創刊から通巻700号を迎え
500ページを超す
分厚い記念号を出しました。

『ミステリマガジン』2014.6
(早川書房、2014年6月1日発行、59巻6号)

そこに
「ミステリマガジン思い出のコラム」
と題して
これまでの同誌に載ったコラムから
思い出に残っているものを
71人の作家・評論家が選んだ
アンケート・コラムが
載っています。

集計されているわけではないので
第1位がなんだったのかというのは
分からないのですが
同じ号に
かつての同誌を飾ったコラムが7本
再録されていますから
(編集部のチョイスだそうですけど)
ここらあたりが
支持が高かったのかもしれません。

それにしては
再録コラムに瀬戸川猛資の名前が
見当たらないのは
不審ではありますけれど。

でもまあ、
そんなことをいい始めたら
あれもないこれもない
ということになりますから
これはこれでいいのでしょう。


個人的に嬉しかったのは
宮脇孝雄『書斎の旅人』の
連載第1回が再録されたことです。

『書斎の旅人』自体は
本になっていますし
その本の方も持っているので
初めて読めるから嬉しいというのではなく
宮脇孝雄のエッセイがチョイスされた
リスペクトされた
ということが嬉しかったのです。


『書斎の旅人』
(早川書房、1991.10.31)

以前、マーガレット・ミラーの
『狙った獣』を紹介した際、
解説を寄せた宮脇孝雄のことを
「さすが『書斎の旅人』」と呼んだのは
上の本の作者だったからです。

カバーと扉に
「イギリス・ミステリ歴史散歩」
とあるように
(パラフィンがかかっているので
 見にくいかもしれませんが)
19世紀半ば(ビクトリア朝時代)から
第二次世界大戦終了後あたりまで
作家でいえば
チャールズ・ディケンズから
ジュリアン・シモンズまでの
イギリス・ミステリと
その周辺の小説を取り上げて
その登場の意味やら意義やらを
解説した本ということになります。

かっちりと時系列順に
書かれているわけではないので
「歴史散歩」というわけ。

個人的に興味のある
ドロシー・L・セイヤーズや
ニコラス・ブレイク、
マイクル・イネス、
エドマンド・クリスピン
といった作家に対する言及が多く
特に、日本では
高踏的な作家といわれていた
マイクル・イネスのイメージを
塗り替えたことが
印象的でした。

これは名著だと思いますが
いまだに文庫化されていないので
「隠れた名著」と
いうべきかもしれません。

少なくとも
戦間期の(あるいは大戦間の)
イギリス・ミステリに
関心のある向きにとっては
必読の本だと思っています。


で、今回は
『書斎の旅人』の27章に出てくる
シモンズがクリスピンの特徴としてあげた
「言葉による騙し」verbal deception
について書こうと思っていたのですが
前置きが長くなったので
今回はこの辺にして
それについては次の記事で
書くことにします。

上に羅列した作家を知らない方には
ちょっとマニアックな話題になりますが
ご容赦くださいませ。

というわけで
To be continued.


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