
(集英社ヤングジャンプ・コミックス、2014.5.24)
第8巻に続いて
『吸血鬼』を原作とする
「明智小五郎×蛭男」の
第6回から12回までを収録。
一冊まるまる一作品というのは
このシリーズでは
初めてではないでしょうか。
今回、読んで驚いたのは
ラストのオチでして
これは原作を改変し過ぎだろう
と思って、原作を確認したら
さほどひどい改変でもなかったですね。
原作の方のラストは、
いちおうトリックものなんですが
こちらは完全なホラーになってます。
人によっては改変し過ぎだと
思うかも知れませんが
自分が驚いたのは
犯人が自爆した後に
さらに展開があるというところでして
てっきりそういう追加はないものと
なぜか思い込んでおりましたがゆえに。
まんがならではのアレンジ
という点では
ヒロインの子どもの心が
壊れてしまうシーン(p.91)は
ちょっと悪趣味かもしれませんね。
幼児返りのシーンは
原作にもあったと思いますけど
まんがの方は、描き方がなあ。( ̄ー ̄;
あと、
密室殺人も出てくる話だったとは
気づきませんで。
まあ、密室といってもあれですが
横溝正史の戦後の長編を連想しました。
もしかしたら横溝は
無意識のうちに引用したのかも。
唇のない男に狙われる
ヒロインの性格自体にも問題がある
というのは、当時としては
かなり新しい発想のようにも思います。
確認したら原作の方にもありました。
だから最後のようなオチになったわけで
これは女性という存在に対する
時代の無意識のあらわれかもしれませんね。
とまあ、ネタや作品名を明示できないので
隔靴掻痒な書き方になりましたが
いろいろと発見があって面白かったです。
原作の『吸血鬼』を
読み直したくなってきました。
というか、『地獄の仮面』という
ポプラ社から出ていたリライト版でしか
読んでない気がしてきたので
今回、読んだら
それが初読、という
お恥ずかしい話になるわけですが。(^^ゞ
