『サンダーバード 劇場版』2枚組DVD(裏)
(20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン
 MGBLG-22269、2012.12.19)

上の写真は
前回アップしたDVDのジャケ裏です。


『サンダーバード6号 劇場版』(1968)は
大型遊覧飛行船のプロモーション飛行に
国際救助隊を狙う謎の組織が絡んでくる
というスパイものめいたエピソードで
劇場版第1作の「岩蛇」のような
アメリカ向けの設定はなく
いかにもイギリス的な、といいたくなるような
地味でシブい展開を見せてくれます。

ただ単に地味でシブいだけではなく
そうした印象を覆すような
カットが見られるあたりも
いかにもイギリス、といいたくなりました。


たとえば冒頭の
民間飛行会社の重役連が
大笑いするシーンは観てて怖いというか
シュールな趣きがありました。

これを劇場の大スクリーンで観たら
トラウマになりそうです。( ̄□ ̄;)

また、謎の組織が
殺した遊覧飛行船の乗務員を
ハッチから海に捨てるカットや
双発機の後部座席に就いたまま射殺された
組織のリーダーの死体を
振り落とすカットというか
そういう話の流れなどは
ブラックなユーモアすら感じられました。

シュールでブラックな演出は
自分が考える「イギリスらしさ」を
よく示している感じがされるわけでして。


ペネロープのお抱え運転手である
パーカーの扱いなども
イギリスらしいイジワルさが感じられて
こりゃアメリカじゃあウケまい
という感じでした。

ちなみにパーカーは元泥棒で
ペネロープはレディの称号を持つ貴族の子女。
この設定から
マージェリー・アリンガムの
アルバート・キャンピオン・シリーズを
連想しました……というのは
余談になりますが。(^^ゞ


ところで、前回の記事で
原作ではペネロープが
ペネロピーと呼ばれている
と書きましたけど
それについて書かれている記事を
見つけましたので
以下にリンクを貼っておきます。

http://toxa.cocolog-nifty.com/phonetika/2005/03/post_3.html

プロデューサーの
シルヴィア・アンダーソンによれば
劇場版では、テレビではあまり活躍の場がない
レディ・ペネロープを描きたい
という意図もあったそうで
劇場版第2作では
女スパイさながらの活躍を見せてくれます。


なお、DVDには選択できる副音声として
日本語の吹替え版も収められています。

吹替え版を作ったときに
すでに亡くなった声優もいたようですが
ペネロープはもちろん黒柳徹子。

これも懐かしいですが
原作のペネロープの声と
(演じたのはプロデューサーの
 シルヴィア・アンダーソン)
あまり変わらないというか
割と合っているのは意外でした。


劇場版第2作のキモは
サンダーバード6号とは何か
(どういうメカか)
という点にあります。

まだ観ていないという人もいるでしょうから
いちおう6号の設定は曖昧にしときますが
自分は、いつのころか
プラモデルの箱絵などで
サンダーバード6号が何か
というのは知ってました。

今回、改めて(というか初めて)
映画のストーリーを通して観てみると
6号の設定にも
実にイギリス的な趣味ないし好みが
感じられる気がされました。


ところで、特典映像での話によれば
劇中で活躍する双発機の撮影に関しては
実際の飛行と模型の飛行とを
組み合わせたそうです。

操縦しているのが女性パイロットで
戦時中に輸送部隊にいたというのは
何とも驚きの裏話でした。

実際の飛行シーンの撮影で
ハイウェイの陸橋をくぐらせようとしたとき
警察から待ったがかかったという話の顛末も
いかにもイギリスらしいというか
傑作なエピソードですね。


劇場版第2作は
お話自体は盛り上がりにかけますけど
イギリス趣味が横溢していて
クセになりそうな魅力があると思います。

テレビ版のテイストは
むしろ劇場版第2作によく出ているそうで
そういわれると観直したくなってきますが
オリジナルの画面サイズで復刻したものは
Blu-ray BOX 版だけのようでして。

またブルーレイかよぉ。ヽ(;´Д`)ノ


とオチがついたところで、また明日(笑)


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