Paperback Confidential
(Stark House Press、2013.9)

Paperback Confidential
というタイトルは
日本語に訳すと、どうなるのかなあ。

「あなただけに教えるペイパーバック情報」?

『ペイパーバック・コンフィデンシャル』
とカタカナで誤魔化すのが
妥当でカッコいいかも(苦笑)

Crime Writers of the Paperback Era
(ペイパーバックの世紀の犯罪小説家たち)
という副題が付いています。


マーガレット・ミラーの
The Birds and the Beasts Were There
を Amazon で検索したとき
ミラー関連書として引っ掛かってきた本です。

明らかにミステリ関係の
レファレンス・ブックだったので
即行で注文したところ
ミラーの上記の本と一緒に届いてました。
(注文先は別です)


著者の Brian Ritt という人は
知りませんでしたが
ジャケ裏の著者紹介を読むと
若いころからサブカルが好きで
モノクロ映画やパルプマガジン
ヴィンテージ・ペイパーバックを
収集していたとありまして
これまでに Paperback Rarade と
The Paperback Fanatic という本を
書いているようです。

小学校の先生でもあるらしい(笑)


ま、それはともかく
この本は
ペイパーバック・ライター
132人を取り上げた
作家事典です。

著者の序文によれば
1930年代後半から1960年代までの
ハードボイルド・クライム・フィクションの
作家たちの内
後世への影響などを鑑みて
重要だと思われる書き手を
取り上げているそうです。

日本に翻訳されてお馴染みの作家も
何人かいますが
日本語版『マンハント』やアンソロジーに
短編が訳されているだけの作家もいますし
まったく作品が紹介されていないだけでなく
海外の動向を紹介するエッセイなどでも
言及されたことのない作家も
若干含まれています。

手許の資料や
インターネットで
ぱぱっと調べてみたところ
これまで日本に紹介されていない作家が
項目として2ダースほどありました

逆にいえば100人を超える作家は
翻訳があるわけですが
ハメットやチャンドラーなどの
有名な作家はともかく
短編が一、二本訳されただけの
マイナー作家の経歴や
向こうでの評価が分かるのは
ありがたいです。

1930~60年代の
ハードボイルド系のミステリがお好きな方には
重宝するのではないでしょうか。

ある程度の年齢の方なら
懐かしいと思われる作家が
たくさん項目立てされています。


意外なところでは
エラリー・クイーンの項目があります。

ファンの方ならご存知かと思いますが
エラリー・クイーンというハウスネームで
代作者による
ペイパーバック・オリジナルを
山のように出したことも
関係しているのかも知れません。

もっとも、いわゆる国名シリーズなどは
ペイパーバックでも出ていましたけどね。


いわゆる本格ミステリ系では他に
スチュアート・パーマーの項目があるのも
意外でした。

ちょっとマニアックなところで
ハリー・スティーブン・キーラーの項目もあり
てっきり本格ミステリの人かと思ってましたが
そうじゃないみたいですね。

もちろん
マーガレット・ミラーの項目もあります。
(だから引っ掛かってきたわけで)


巻末には Rick Ollerman による
Pseudodex: an Index of Pseudonyms
すなわち別名義索引がついていて
このジャンルが好きな人なら
これを見ているだけでも
楽しめるのではないでしょうか。

ちなみにクイーンの項目には
ギル・ブルワー、リチャード・デミング、
フレッチャー・フローラ、ヘンリー・ケイン、
スティーブン・マーロウ、タルメッジ・パウエル、
チャールズ・ラニオンの名前があがっています。

これらの作家名は
この本に取り上げられている作家に
限ってますので
これだけなんですけど
今まで日本に知られていなかった代作者は
さすがにこの中にはいないようです。

まあ、ご参考までに。


てか、マニアックな話題ですみません(^ ^;ゞ


ペタしてね