
(2012/池田真紀子訳、文藝春秋、2013.10.15)
「人間嘘発見機」キャサリン・ダンスが
主役を張るシリーズの第3弾です。
今回は、というか今回も
リンカーン・ライムがカメオ出演しますが
今回はカメオといえないくらい
登場シーンは長いかも。
それはともかく、今回は
スター・ストーカーのお話です。
カントリー・ミュージックの
シンガー・ソング・ライター
ケイリー・タウンにつきまとう
ストーカーが起こした連続殺人
と思われた事件が、いつかしら……
と、まあ、ここから
怒濤のどんでん返しの連続に
なっていくわけですが
これ以上、ストーリーにふれるのは
やめておきましょう。
最近は、自分自身
(このブログの読者ならご存知の通り)
ライブハウスに行ったり
路上ライブに行ったりすることが
比較的、多いので
音楽業界をバックグランドとする本書は
いつも以上に興味深く
物語に入り込んでたかもしれません。
このブログにしても
かなり情報を垂れ流しているわけで
ヤバいかもしれないなあ
とか思ったり。
いろいろ考えさせられました。
自分がストーカーというものを
ミステリを通して初めて意識したのは
パトリシア・ハイスミスの
『愛しすぎた男』(1960/邦訳、1996)を
読んでからだと記憶します。
その頃は、愛しすぎることと
それが狂気の域に達することとは
区別がつけ難いよなあ、とか
呑気に思ってたものですけど
最近では
自分でも自分の行為に
ついついチェックを入れたくなったり(^^ゞ
先日の三鷹で起きた事件を知った時は
その後のリベンジ・レイプに
自分も知らず識らずのうちに
加わっていたのではないかと気づいて
愕然とさせられたものですが
ちょうどそういうこともあったせいで
他人事じゃない感じというか……。
まあ、本書に出てくるほどの
ストーカー行為は
知恵と知識と狂熱(根性)に加えて
財力がないと無理ですから
自分がストーカーになる心配は
せずに済みますけど(苦笑)
キャサリン・ダンス曰く
ストーカーは現実世界を歪めて
自分に都合良く解釈するから
嘘をついているという自覚が生まれない、
そのためキネシクスは役に立たない
ということらしく
いつも発揮する能力よりも
「AからBへ、跳んでXへ……」という
直感的な推理に頼る場面が多い。
そのため、といっていいのかどうか
やや跳びすぎるところもあるような気はしますが
いつものディーヴァー節が健在です。
ひっくり返しすぎというか(苦笑)
先の展開の予想がつく
というのとは、ちょっと違いますが
残りまだこれだけあるから
まだまだどんでん返しはあるだろう
と思わざるを得ないところがあり
そういうのは
長編ならではのネックかもしれませんね。
どうせひっくり返すんだろ
と思いながら読んでしまいますもん(笑)
でもまあ、やっぱり
おすすめせざるを得ないわなあ。
ちなみに、カバーを外して広げると
下のような感じ。
