$圏外の日乘-『蔵書の苦しみ』
(光文社新書、2013年7月20日)

本をめぐる本、本についての本
特に古本についての本は
嫌いじゃありません。

ただ、たまに読むのはいいけれど
続けて読んでいると鼻について仕方がない
そんな気がしています。

こちらは、出た時
内田樹の『修業論』と並んで
平積みになっていて
気にはなっていたんですが
まあ、次でいいかと思ってたら
重版されちゃって
例によって例の病気で
初版を探して買いました(^▽^;)


内容自体は
仕事に行く電車の中で読んでいて
思わずニヤニヤしたり
噴き出しそうになったりするくらい
楽しく読めました。

というのも、自分も
スチールの本棚20本超すぐらいの
蔵書というには貧弱な本の山を抱えていて
確かに持っているはずなのに
必要な時にはどこにあるのか分からず
探すより買い直したり
図書館で借りてきたりする方が早い
という経験を何度かしていて
作者のいわゆる蔵書の苦しみが
それなりに分かるからなんですけど( ´(ェ)`)


分かる分かる、と思う話ばかりでしたが
最近は後藤明生の古書価があがっている
という話には、びっくりでした。

後藤明生、院生時代に
必要があって買い込んでましたから
かなり揃ってます。

売らないけどね(苦笑)


あと、ミステリ・ファンとして
ひとつ気になったのは
203ページに
光文社文庫のミステリー文学資料館編
『ペン先の殺意』(2005)と
『江戸川乱歩と13の宝石』(2007)に
収録されている小沼丹の作品は
おそらく、創元推理文庫の
『黒いハンカチ』からの収録だろう
なんて書いあること。

実際のところは、光文社文庫の2冊とも
『黒いハンカチ』からは採ってません。

手だれの編者であれば、当然
そういう手に入りやすいものを
外そうと考えるわけでしてね。

『ペン先の殺意』の編者が
手だれかどうかはともかく(苦笑)
『江戸川乱歩と13の宝石』の方は
編集委員が新保博久ですから
まずそんな素朴なことはしないわけで。

それに、そもそも
『黒いハンカチ』の初出誌は
『宝石』じゃないしね。
採りようがない(苦笑)


まあ、それはともかく
古本好きには楽しめる本だと思いますけど
本書の中でもふれられているような
一般的な「本好き」にはウケない
というより、理解出来ないような話が多い
と思うんですが、重版されるとは……

これもひとつのビブリオ効果
なのかもしれませんね。

とかいってる自分は、少し前に
『ビブリオ古書堂の事件手帖4』を
持っていないと思って
ダブり買いしてしまったんですが( ̄▽ ̄)

かくして本がたまる……orz