$圏外の日乘-『嘘解きレトリック』1
(白泉社/花とゆめCOMICS、2013.6.25)

作者名は「みやこ・りつ」と訓みます。

『みすけん!』を買った時
一緒に平積みになってました。

オビに「辻村深月」の文字が
踊っていたのと
(オビの裏表紙側に推薦文あり)
面白そうだったのとで
思わず買ってしまいました。


時は昭和初期。

嘘を聞き分ける能力を持ったため
村人に疎まれてしまい
東京に出てきた浦辺鹿乃子は
ひょんなことから
貧乏私立探偵の
祝左右馬(いわい・そうま)と知り合い
その助手として暮らすことになります。

そして鹿乃子の能力を知った祝は
彼女とともに
様々な事件の解決にあたる
というお話です。


超能力を持つキャラクターを
一人だけ登場させて
それ以外はきちんと論理の筋を通す
というスタイルは
京極夏彦の榎木津探偵や
アニメ『UN-GO』を思わせますし
超能力を持ってしまったばかりに
苦悩するヒロインとなると
宮部みゆきの小説を連想させます。

まあ、それくらいの設定のかぶりは
最近のエンタメではOKのようですし
そうした設定を使って
どういう物語を作り上げるかが
腕の見せ所だと思えば
都戸利津の本作品は充分
評価できるレベルに達しています。

単に設定に頼るだけでなく
コマの中にきちんと伏線を張っていたり
意外な人間やモノが意外なつながり方をしたり
(もちろんその伏線も張ってあります)
探偵役の推理=辻褄合わせが面白かったり
(もちろんその伏線も張ってあります)
お話がきちんと作られている点に
好感が持てました。

絵柄も好きなタイプのものです。

ただ一点、
登場人物の台詞に出てくる
「恐怖映画」に
「ホラー映画」と
ルビを振っている(10p)のが
気になりました。

が、この一冊、おススメです。